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【比較】法・経済・社会・政治学部 ー学部選びのキホン

2020/09/06
【受験情報・勉強法】 0
文学部、法学部、経済学部、社会学部、政治学部は、昔からある一般的な文系学部群ですね。社会学部は比較的新しいですが。文学部はさておき、その他の4学部、いわゆる「社会科学」系の学部については、実は違いがよくわかっていないという方も多いのではないでしょうか。実際、この4学部間で併願をされる方も多いです。

ある程度学部の違いをを理解していて志望学部がハッキリ決まっている方は、その学部縛りでいくつかのレベルの大学を組み合わせて受験したりすると思います。例えば法学部志望でいえば、慶大法、上智法、明大法という組み合わせだったり。

まぁそういう方でも、いざ二次試験出願の時期になると、とにかくどこかに引っかからなければという気持ちが非常に強く働きますから、今年度は出願が少くて穴場と化しており難易度が少し下がりそう、お買い得、という理由で、法学部志望でありながら例えば経営学部にも出願しちゃったりするものですが。

もう少し無関心な方だと、社会科学系であれば学部間の就職の有利・不利には大差ない、学ぶ内容も似たりよったり、そもそも大学で何を学ぶかは重視していない(期待していない)、とにかく憧れの私立X大学であれば極端な話どの学部でもいい ー そう考えてか、第一志望の大学の、法学部から商学部まで、もう総流しで全部受験したりして。

ロンブー敦さんも「青学一直線」というアベマTVの企画で、「法学を住吉先生のもとで学びたい」として法学部を志望されてましたが、最終的には法学部だけではなく片っ端から受験できるだけ受験されてましたよね。批判してた人も多かったですが、受験生の心理ってそんなものだと思います。

本記事では、これら社会科学系4学部の違いを理解するのにオススメの本をご紹介します。

木村草太「キヨミズ准教授の法学入門」




木村草太さんは東京都立大学法学部教授で、ご出身は東大法学部です。いわゆる「学士助手」出身の方ですね。東大法学部には最近まで「学士助手」という制度(習慣?)がありました。これは最優秀の学生をアカデミズムの世界に留めておくための制度で、数名の極めて優秀な学生が学部修了後(=法学部卒業後)すぐに東大助手として採用される制度です。

東大法学部では最近まで「学士助手に採用される」「在学中に司法試験に合格する」「国家公務員I種試験に合格してキャリア組として中央省庁に採用される」のいずれかが勝ち組だとされていたといいます。数名しか採用されない学士助手はその最高峰です。舛添要一さんも学士助手出身ですね。

学士助手は、3年間の助手経験後、各大学で助教授の地位につくのが通例です。

木村草太さんは3年間の学士助手ののち、25歳くらいで東京都立大学(旧首都大学東京)准教授になられていますね。現在は教授になられてます。

そんな凄いスペックの木村草太さんが書かれた「キヨミズ准教授の法学入門」ですが、私が思うに世界一わかりやすい法学入門であり、ついでに社会科学入門です。今回の記事では、「キヨミズ准教授の法学入門」に基づいて、法学部をメインに据えつつ、社会科学系4学部についてご紹介します。

法学部

法学部というからには、法=法律の条文でも学ぶのかなというイメージがあります。そして優秀な法学部生が狙う司法試験ともなれば、六法全書を暗記でもしていないと合格できないのかなというイメージがあります。

実際にはそうではなく、法学部の試験や司法試験では、法律の条文についての知識を問うような問題や、或いはある条文を知っているか否か(憶えているか否か)で解答できる・できないが決まってしまうような問題は出題されないのですね。それどころか、どちらも六法全書は持込み可が基本です。

では法学部では何を学ぶのか。法律の条文それ自体ではなく、判例と学説を勉強するのですね。

判例とは、実際に過去、裁判所が裁判で示した法解釈です(オフィシャル?)。

学説とは、学者が自身の知識・価値観に基づいて示した解釈のことです(外野の声?)。

判例と学説を勉強する目的は、法解釈を行う能力を身に付けることです。

実は、法律の条文というものは、そのまま事案(ケース)にあてはめても自動的には結論が出ないことが多いのです。従って、法律の条文別の言葉に置き換えて、目の前の事案にあてはめる必要があります。これが法解釈です。

例えば最近、自民党総裁選を党員投票無しで行うことの是非が話題になりましたけれども。根拠となっているのは「緊急時は主に国会議員を中心に決める」というような内容の党則でしたよね。

その党則・ルールは今回の「自民党総裁選を党員投票無しで行う」という決定に当てはまるのか。当てはまるとしたら、なぜ当てはまるのか。これにはまず、「緊急事態」とはどのようなものであるのか、党則の解釈を行う必要があります。またこれを今回の事案(総裁が辞任)に適用すべきかは、そもそもこの党則の目的は何だったのか、つまり党員による投票を省略するのが適切な場合があるのはなぜだったかをを考える必要があります。

こういった解釈を法律に対して行うのが法解釈です。法解釈には絶対的な正解はありません。また法解釈には、良い法解釈もあれば悪い法解釈もあり得ます。法学部では、法解釈能力を身につけ、また良い法解釈とは何かを学ぶための、専門的な教育を受けます。なお良い法解釈とは、今回のその解釈が他の事案に適用されることがあっても適切な解決を導き出せるような法解釈とされています(これを「射程」が考え尽くされている法解釈といいます)。

良い法解釈を行う能力は、優れた解釈をたくさん勉強することにより磨き上げることが可能です。

法学部でこのような専門教育を受けて身につけた法律知識は、たとえ法曹、つまり法の専門家にならなくても役に立ちます公務員になれば都市計画法その他の法知識を運用して、計画を立てたり業務を遂行する必要があります。会社員でも、労働法を知らずに部下をこき使えば重大な問題になる可能性があります。


政治学

「政治」とは、時に対立し合ういろんな意見があるなか、一つの決定を行うことをいいます。「政治学」では、政治的決定はどのようなメカニズムで行われるのかどうすれば政治的決定を行うことができるのかを考えます。

決定には必ず反対者がいるはずです。しかし決定にはそれら反対者を従わせた何かがあったはず。この決定の背後にあるメカニズや動機を探求します。

例えばある家族が、夏休みに京都に家族旅行に行ったとします。何で京都に決まったのか。この決定に至るメカニズムとして、家族みんなの意見が一致していて自然に決まった、お母さんの鶴の一声で決まった、修学旅行で行った京都が懐かしくてもう一度訪ねたいと子どもが要望したなど、いろいろなメカニズムがありそうです。


経済学

経済=交換です。人は価値の高いものはずっと持ち続けていたいはず。なのになぜ交換が行われるのかどうすればもっと交換が活発になるか。どんな交換が公正な交換か。経済学では、こういったことを探求します。

経済学では「効用」という用語がよく使用されます。「効用」とは、人間がモノ・サービス・情報から得る快適な気分をいいます。人間はこの「効用」を最大限に大きくしようと行動するはず、というのが経済学の考え方です。

先ほどの京都旅行の例だと、受験科目で日本史を選択するので受験にも役立つから古都・京都を選んだのではないかとか、自宅が新幹線「のぞみ」停車駅の近く(例えば新横浜とか)なので新幹線沿線を旅行先として便利であるとか、そんな考察を行うのが経済学といえそうです。

社会学

社会では、ある種のものの見方というものが構成員に共有されることによって成り立っています。なぜそういうものが成立しているのか。そこにはどんな論理や法則が働いているのか。これを考えるのが社会学です。

そもそも「家族旅行」に夫や妻が価値を見出すのはなぜだろう。こんなことを言ってくるのも中学生くらいまでかもしれませんが子どもが「夏休みくらいどっか旅行に連れてってよう〜。どっこも旅行に行かなかったなんて、学校が始まったら友達に恥ずかしいよう〜」などとおねだりしてくるその「夏休みは旅行くらいするもの」という価値観はなぜ形成されたのか。

こういった事柄を、しばしば統計を駆使して研究するのが社会学ですね。小学生の何%が夏休みに家族旅行に行ったのか。中学生や高校生になると、この%はどのように変化するのか(低下しそうですね)。家族旅行先として人気第一位〜第三位はどこなのか。家族旅行を「重要なイベント」と考える世帯の比率は、昭和〜平成〜令和とどのように推移してきたのか、などなど。

社会学は統計が大好きな学問です…。もちろんただ統計をとるだけではなく、これを駆使して、世間の人は社会をどう見ているのか、家族旅行の例でいえば、家族やその構成員は家族旅行にどのような価値観を抱いているのかを分析するわけです。

付け足し:法学と政治学

「キヨミズ准教授の法学入門」の内容ではありませんが、法学と政治学については、こんな整理の仕方もありますね。

  • 法学:問題を、今ある法律をどう解釈して当てはめて解決するかを考える学問 ー 既存の法律を縦横に駆使
  • 政治学:問題を、どのような枠組みを構築すれば解決できるかを考える学問 ー 新しい法律を創造

学問間の「相互乗り入れ」も重要

各学問にはそれぞれ長所・短所、見えるところ・見えないところがあります。補い合うためには他の学問を積極的に学ぶことも重要です。

例えば「プラットフォーマー」とも呼ばれるGAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)への、法による規制・管理の強化ということが話題になりますけれども。これには法制度による産業(IT業界)への影響の、経済学の視点からの分析も必要になりますね。

「キヨミズ准教授の法学入門」の魅力

上記の説明は小難しい感じになってしまいましたが、実際の「キヨミズ准教授の法学入門」は小説っぽい仕立てになっていて、ストーリー中の出来事や場面をキッカケに、上記4学部の特徴が会話の中で自然に語られていきます。

小説風の構成ということは当然登場人物たちが存在してくるわけですが、マンガ風のコマ割りされたイラストがちょいちょい挿入されていて、キャラクタを理解して登場人物たちに感情移入しながら楽しく読める助けになっています。

このイラストを担当されているのがマンガ家の石黒正数さん。魅力的な絵だな〜と思ってたらこの方、週刊少年チャンピオンで「木曜日のフルット」を連載されているマンガ家さんなんですね。

木曜日のフルット」はネコのフルット鯨井先輩が主人公のほのぼのマンガで、週刊少年チャンピオンに連載中のマンガの中では私が二番目に好きな作品です。

 石黒正数「木曜日のフルット」(2)


最後に学部選びのポイントをいくつか


法学と政治学

これらはもう学部からして別という場合と、法学部の中で学科として別れている場合が多いですね。その場合は受験出願からして別々になります。代表的な大学を表にして見ました。

大学タイプ法学政治学
早稲田大学部からして別法学部政治経済学部政治学科
明治大学部からして別法学部法律学科政治経済学部政治学科
慶應大法学部内で別学科法学部法律学科法学部政治学科
中央大法学部内で別学科法学部法律学科法学部政治学科
青山学院大別れていない法学部

青学法学部では両方学べるようです。要項でも法学部が求める人材として「法学あるいは政治学に関心を持っている」方、と記述していますね。法学と政治学で迷ったら、青学法学部にGo?

社会科学系の学問を学際的・横断的に学べる学部

これらの学部としては、例えば以下がありますね。出願の時点で分野を絞り込まなくてよく、入学後多様な学問を学べる点が魅力的です。

大学学部
早稲田大社会科学部(いわゆる「シャガク」)
筑波大社会・国際学群(社会学類)

青学の社会情報学部や地球社会共生学部慶應や中央大の総合政策学部なんかも、学際的に幅広く学びたい方にはオススメです。

 
今日はこのへんで。
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