古市憲寿『絶対に挫折しない日本史』は、本当に挫折せず読了できるか?トライしてみた
2021/01/22
古市憲寿氏の最新作『絶対に挫折しない日本史』
古市憲寿氏の最新作『絶対に挫折しない日本史』。度々芥川賞候補にもなり作家としても話題の氏ですが、この作品は小説ではなく、歴史や社会学の真面目な本です。
前書きによると、氏は面白くてイッキに読み通せるような日本史の本を描きたかったということです。その出来栄えに対する自信は「絶対に挫折しない」という書名に込められています。
ホントに挫折しない?
さて、読んでみたわたしは挫折しなかったか?結論から速報しますと、17:00頃から読み始めまして、大変面白く中断なく読み進め、最後まで飽きずに、また飛ばし読みに移行することもなく、21:15頃読了しました(今は21:27です)。
私にしてはゆっくり読んだほうでしたが、読了に要した時間は4時間15分というところでしょうか。
読後はとても満足しています。
『絶対に挫折しない日本史』の構成
本作品は大きく2部構成となっています。
- 通史編
- テーマ史編
作家でもある氏によると、面白い物語の条件というものがあり、それは主人公のやりたいこと・目的が明確であること、それに向かって主人公が行動し活躍すること、なのだそうです。
さて通史編では、古代から令和(※1, ※2) までの歴史が、一度はまとまろうとした日本が(天武天皇の頃がピーク)、やがて権力が分散するバラバラの状態になり、やがて再び国家としてまとまる(明治以降)物語として、テンポよく語られます。
※1 2020年9月発行の書籍です
※2 正確には、50万年後に九州が南北に分断し、数千万〜1,2億年後には日本列島が消滅する未来までを取り上げています(第7章「日本はいつ「終わる」のか」)
氏はできるだけ固有名詞を排して執筆することに努めたと本書の各種で述べているように、この物語に人名はほとんど出てきません。ではこの通史編の主人公は誰なのかというと、日本、または日本人そのものといえます。
主人公(日本/日本人)のやりたいことが明確(まとまる)で、目的に向かって活躍する物語なのですから、先ほどの条件を満たしていますね。面白くならないわけがありません。
テレビなどでお馴染みのあのブラックなユーモア(※3)が散りばめられていることや、気鋭の学者としての社会学的分析の光が歴史上の様々な事象に当てられている点も本書を面白くしている点の一つなのですが、本質的な面白さは、氏の言う面白い物語の条件を満たしているところから来ているのだと思います。
※3 「縄文顔か弥生顔か…全くのナンセンス…現代人でも佐藤健から中瀬ゆかりまでいるわけで、同時代人に通底する顔があると想定することに無理がある…」といった調子。
テーマ史編では、例えば家族のあり方とその未来といった7個の社会学的テーマが、日本史を遡り、縦断し、歴史的な事実に基づいて論じられます。しばしば炎上することで知られる古市氏の個性的な視点や議論は、少なくとも私には大変説得力があります。
氏によると、通史編とテーマ史編を全て読み切ると、様々に角度を変えて日本史を8回読んだことになる構成になっているそうです。
オススメの読者さん
日本史に興味を持つキッカケの一冊として、特に中学〜高校二年生くらいの学生さんにオススメしたい一冊です。
今日はこのへんで。
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それではまた…。