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【4万字】「ドラゴン桜2」まとめ

2021/10/03
【受験情報・勉強法】
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「ドラゴン桜2」(2021年TBS「日9」)のまとめです。


このドラマの縦糸は、もちろん東大受験です。一方、横糸といえるのが、学園買収を巡る陰謀劇です。ネタバレ防止のため、この学園買収の攻防については、基本的にほとんど書いていません。学園買収を巡る、逆転また逆転の攻防は、ドラマのブルーレイBOXでお楽しみください。

第1話


かつて、落ちこぼれ高だった龍山高校から東大合格者を輩出し、同校を再建させた桜木。彼は学校再建のエキスパートとして評判を博し、桜木法律事務所も設立して、順風満帆の弁護士生活を送っていた。

そんな矢先、龍山高校の生徒・米山が自殺未遂騒動を起こす。東大合格者多数輩出を目論む桜木から、精神的に追い詰められて自殺しようとしたのだという。この件はマスコミに大きく取り上げられ、桜木は全てを失ってしまう。桜木法律事務所も、弁護士岸本のものとなる。そして桜木は姿を消してしまう。

数年後。龍海学園は経営再建に揺れ動いていた。教頭は進学校化こそが再建の道と主張し、女性弁護士水野を招く。
水野は龍山高校出身、桜木の教え子である。桜木の指導で東大に合格して、今では弁護士になっている。

進学校化に反対する理事長は、東大合格者5人を出すことが条件に、東大専科開設を受け入れる。やれるものならやってみろというわけである。そして東大合格者が5人も出たら、自分が間違っていたと認め、理事長を退任すると約束する。

一方水野には、東大合格者5人を出せれば、向こう5年間、龍海学園顧問弁護士として契約することが約束された。水野は一千万もの借金をして、この勝負に賭ける。そして勝負に勝つために、恩師・桜木を探し出し、協力を仰いだ。桜木はこれを受け入れる。全てを失ってすっかり落ちぶれている桜木は、東大専科の教室の端にテントを張り、住み込みで戦いを開始する!

iの独り言。
すみません。第1話は見逃してしまいました。第2話〜第10話(最終話)を観ての消去法で書いてます。

第2話「人生の大勝負!お前の道はお前が決めろ!」


ドラマ編

岩崎は、一流バドミントン選手を両親に持ち、自分自身もまた将来のオリンピック候補との呼び声の高い、高校トップレベルの女子バドミントン選手である。龍海学園バドミントン部に所属し、来たる関東高校バドミントン大会に向けて、練習に明け暮れる日々を過ごしている。

プレーヤーとしての将来が嘱望される岩崎であったが、しかし彼女には周囲に打ち明けていない苦悩があった。右膝半月板にいわゆるバクダンを抱えているのであった。

この故障による痛み、悪化してバドミントンが続けられなくなるのではという不安、学園やコーチの期待、来たる関東高校バドミントン大会の重圧。岩崎はこれらにひどく苦しんでいた。

バドミントンダブルスのパートナーである清野は、そんな岩崎を常に励まし、優しくしてくれる親友であった。

しかしストレスから魔がさした岩崎は、コンビニで万引きを行ってしまう。この万引きを知ったのが、桜木であった。桜木は、元教え子で東大卒の弁護士である水野のたっての依頼で、教育コンサルタントとして学園に乗り込んできて、東大専科を設立したのであった。落ちぶれて行き場の無い桜木は、東大専科の教室の端にテントを貼って、その中で寝泊りをしている。

桜木と岩崎の関係はよくない。桜木は学園理事長に、今年度東大に5人の合格者を出すと宣言して東大専科を設立したが、そもそもまだ東大専科には生徒が2人しか集まっていない。早瀬と天野である。東大専科に入れと命じてくる桜木を、岩崎は嫌っている。

そしてコンビニでの一件以来、岩崎のロッカーの中などに怪文書が貼りつけられるようになる。内容は「この万引き女!バドミントンやめろ!」といったものだ。

自分が東大専科に入らない腹いせに、ここまで悪質な嫌がらせをしてくるのか?岩崎は桜木に対する激しい憎しみを覚える。

そんなある日、龍海学園でボヤ騒ぎが起きる。場所は東大専科の教室で、桜木のテントが全焼していた。火元となった桜木のテントからはタバコの吸い殻が見つかる。このことから火災原因は桜木の寝タバコではないかと疑われ、桜木の責任問題に発展していく。

しかし桜木はその時間ラーメン屋におり、アリバイが証明できる。そもそも桜木はタバコを吸わない。学園がボヤ騒ぎ前後の学園内の防犯カメラを精査した結果、そこには当のラーメン屋を姉と二人で切り盛りする、龍海学園の生徒・瀬戸の姿がバッチリ映し出されていた。

瀬戸は、常に桜木に楯突く不良であり問題児である。瀬戸は、桜木が面白くなくて桜木のテントを焼いたのではないか?学園側から問い詰められる瀬戸。放火は重罪である。犯人が瀬戸であれば、退学だけで済まされる事案ではない。瀬戸は誰かをかばっているのではないか?

ちなみに瀬戸は、両親を無くした後、姉と二人でラーメン屋を切り盛りしている。二人は店の運転資金のために姉が作ってしまった借金の返済に追われている。毎日忙しくて時間がなく、高校生活にそもそもあまり未練が無い。

反抗的な不良・瀬戸がいなくなればせいせいするはずの桜木は、しかし自分の寝タバコのせいでボヤ騒ぎを起こしてしまったと学園に謝罪して事態を収め、瀬戸を責めない。

水野たちによる防犯カメラの更なる精査により、やがて放火の真犯人は●●であることが明らかになる。瀬戸はラーメン屋の出前の途中で、夜の校舎にフラフラと入っていく思い詰めた様子の●●を見かけ、心配して教室に様子を見に行っただけなのであった。瀬戸は〇〇をかばっていたのである。※ネタバレ防止のため自粛

瀬戸は桜木との取引として、東大専科の一員になることを渋々同意する。

やがて関東高校バドミントン大会千葉予選が始まる。一回戦の南部台高戦を辛勝する岩崎。しかし格下のパートナー清野のフォローで膝に負担をかけ過ぎた岩崎は、第二回戦の君津西高戦を棄権せざるを得なくなる。

岩崎はスポーツ推薦で強豪・青南大への進学がほぼ内定していたが、大会を見にきていた青南大スカウトに見切られてしまい、推薦入学を取り消されてしまう。

一方、常に岩崎の陰になり目立たぬ存在であったパートナー清野であったが、棄権した岩崎を尻目に彼女はシングルスで快進撃を続けていく。清野の思いがけない躍進に戸惑う岩崎。清野はこの大会での活躍が評価され、青南大への繰り上げ推薦入学を勝ち取る。

これらは全て、自分に期待してくれていたはずであった柏木コーチと、親友でありパートナーであるはずの清野の、裏切りと謀略によるものであった。二人は密約を交わしており、岩崎を陥れたのであった。※ネタバレ防止のため自粛

騙されたことを知らない岩崎であったが、桜木はこの陰謀を暴き出し、岩崎の前で柏木コーチを厳しく叱りつける。ぶるぶる震える、柏木コーチと清野。ここで岩崎は、コンビニでの万引きをネタに、怪文書で彼女を脅していた真犯人が●●であることを知ってしまうことになる。※ネタバレ防止のため自粛

裏切りのショックに打ちのめされる岩崎であるが、桜木に対する誤解は解け、またこのことがきっかけで自分が自惚れていて自己中心的であったことを反省するようになる。岩崎は最終的には清野のことを許すことができるようになる。岩崎がこのように変化できたのは、桜木の影響であった。

高校在学中の復帰は不可能であると診断され、バドミントン部を退部する岩崎。身体の故障から競技を断念する無念さを思い知った岩崎は、大学でスポーツ医学を学びたいと希望するようになる。この新しい夢のために、岩崎は桜木の東大専科で学びたいと考えるようになる。

しかし彼女の両親は、治療中も筋トレなどを中心とした自主トレーニングに打ち込むこと、バドミントン強豪大学に進学して大学からプレーヤーに復帰することなどを強要し、人生の青写真を描いてそれを押し付けてくる。

岩崎は、一流プレーヤーであった両親を強く尊敬している。また両親、特に父がどれほどの夢を自分に託し、子どもの頃から自分をどれほど熱心に指導してきてくれたかを強く理解している。そのため両親にどうしても進路の希望を打ち明けることができない。

岩崎は解決を桜木にすがろうとするが、桜木の返事は「お前の道は、お前自身が決めろ!」というものであった。突き放す一方、桜木はまた岩崎の背中も押す。

「オリンピック選手になるよりも、東大に入る方がはるかに簡単だ!」

受験技術編


まず自分を知れ。模試の利用

自分の現在位置を知るために、受験勉強の早い段階で、まずは共通テスト模試を受験しよう。

第3話「一発逆転!バカでも秀才に勝てる勉強法!」

ドラマ編

岩崎と瀬戸が加わり、東大専科は在籍人数が4人になった。そこへ更に、発達障がいを持つ生徒・原が、誘いに応じて加わって来る。原は学園の中庭で昆虫観察に夢中になるなどの奇行が目立つ生徒である。一方で彼は、誰も予想しない晴天のもとで10時に大雨が降り出すことを予想して的中させるなど、自然科学に対する計り知れない素質を秘めてもいる。

これで東大専科は在籍者が5人になった。大場理事長はこのことに危機感を強く感じる。東大専科から今年度5名の東大合格者が出たら、大場理事長は理事長を退任する、というカケをしているからだ。

もともと、偏差値の低い龍海学園に桜木たちを招いて東大専科を設立するというのは、大場理事長の本意では無い。そもそも大場理事長はガリ勉には反対である。原のような生徒を受け入れているのも、健常な生徒たちに障がい者との共生について学んで欲しい、そうして障がい者と生き生きと暮らせる社会を作って欲しいと願っているからだ。

現理事長は、父である前理事長から理事長を引き継いだが、経営者としての手腕に掛けたところがあり、学園の経営状況を悪化させてしまっている。このため前理事長たちからの横ヤリが入り、経営テコ入れとしての東大専科設立をいやいや受け入れざるを得なかったのだ。

大場理事長は東大専科に対抗して「難関大コース」を設立し、理系では学年トップレベルの秀才・藤井に難関大コースで授業を受けさせる。

藤井の志望は東大理科I類だ。彼は中学から秀才の誉れが高かった。しかし高校受験当日は本調子が出せず、志望校に落ち、極めて不本意な気持ちで竜海学園に入学した生徒だ。このため学園生活は全く面白くなく、同級生全員をバカにしている。傲岸で、難関大コースの授業中も極めて態度が悪く、講師を舐めきっており、机を蹴って講師を大声で恫喝することもあるほどだ。

東大専科を潰したい大場理事長は、そんな藤井を擁する難関大コースと東大専科の対決を提案する。勝負は3週間後。東大の過去問を元にした試験で勝負する。難関大コースは藤井ただ一人。対する東大専科は、5人で受験し、各科目の最高得点を持ち寄って対決するという方式である。

負ければ東大専科が廃止になるという状況で焦る専科生たち。当然彼らは桜木たちに秘策があるものと考えるが、実際に課された課題は、これで難関大コースに勝てるのかと首を捻らざるを得ないものばかりであった。

例えば、中学の総復習を、この3週間で最低5回繰り返せというミッションを課されたり。

あるいは、ツイッターをはじめさせられたり。受験勉強の進捗や決意などを、毎日ツイートするという課題だ。これはモチベーションと自分を追い込むのに効果があるという。

また、「バカ」と大書されたハチマキを巻いて、お互いに教え合うという課題も与えられた。これは他の生徒たちには廊下から物珍しげに見られ、大いに笑い者にされた。

更に水野から毎日お題が出て、考えて答えを述べることも求められた。「朝焼けは晴れ、夕焼けは雨といわれる。その理由を述べよ」「日本で流通するカボチャは、どんな種類が多いか。なぜその産地でカボチャが多く算出されるのか」といった課題だ。

後者の課題は、実際に東大の地理で出題された問題であるという。少しの知識さえあれば思考して正解を導き出せる、考えさせる良問なのだという。

ちなみに前者の朝焼け・夕焼けの問題を、原はあっさりと正解してみせた。原は、発達障がいを持ちつつも同時に自然科学の秘められた素質も併せ持つ、計り知れない生徒である。

3週間後の試験当日。残念ながら瀬戸は試験を受けることができなかった。両親を失っている瀬戸は、姉と二人でラーメン屋を切り盛りしている。二人は店の運転資金のために姉がヤミ金から借りて金の返済に追われている。ヤミ金からの嫌がらせがこの日はとりわけひどく、学校どころではなかったのである。

しかし桜木は「試験では何が起きるかわからない」と、瀬戸に優しくせず突き放す。

試験が終わった。公平をきたすため、大場理事長立会いのもと、試験結果の採点が行われる。地理の問題を見た大場理事長は、常識を問う良問を選択したと、褒める。それらは、毎日水野が出していたお題で思考力を鍛えていた東大専科生たちには、取り組みやすいものであった。

やがて結果が揃い、難関大コースの藤井と東大専科生たちが同じ教室に集められて結果発表を受ける。余裕綽々で、自分の勝利を疑わない藤井。勝負は藤井の圧勝に終わり、東大専科は廃止されてしまうのか?※ネタバレ防止のため自主規制

次々に発表されていく、各科目の得点。藤井の答案は、必ずしも高得点ではなかった。みるみると顔色を変え、激怒して立ち上がり、大声で「なんでだよ!ふざけんな!こんなバカどもに俺様が負けるわけねーだろーが!」と喚き散らす藤井。

しかし採点内容は正確なものであった。

例えば英作文。東大専科生の回答は短く、シンプルで、わかりやすく、減点されにくいのだという。一方藤井の回答は、やたら長く、難しい単語や言い回しを使おうとしており、わかりにくく、自ら減点されやすい回答にしてしまっているのだという。

あるいは地理。藤井の回答は一見すると非常に深く詳しい回答を書いているように見える。しかし設問では行政・住民の2者の視点からそれぞれ述べよと求められている。藤井の回答は行政の視点しか述べていない。このため半分しか得点が取れていないのだという。

桜木曰く、これらの回答は藤井の独りよがりな正確を反映しているのだという。自己中でプライドの高い性格ゆえ、英作文では間違いの生じやすい凝った言い回しを得意げに長々と書いてしまう。これでは、自ら減点してくださいと言っているようなものだ。また、人の気持ちを汲もうとせず出題者と対話ができていないがために、地理では2点述べなければいけないことに気づかずポイントを失ってしまう。

桜木は藤井を「今のお前は、東大からも社会からも必要とされていない!」と一喝する。しかし桜木は藤井を軽蔑しているわけでもバカにしているわけでもない。桜木は藤井を「だから東大専科に来い!」と誘う。

教室の外の廊下には、勝負の結果を知ろうとする大勢の生徒たちが詰め掛けていた。叩きのめされ、ぐうの音も出ず、教室の外に出てきた藤井。それを大勢のやじうまが嘲笑する。屈辱でブルブル震える藤井。

しかし桜木は大勢のやじうまたちに向かって、「お前らバカどもよりも、藤井の方がマシだ」と一喝する。大場理事長は「私の生徒を侮辱するな!」と桜木の前に立ちはだかる。

桜木はそんな理事長に構わずやじうまたちに語り続ける。「勉強しないお前らはバカだ。国家はそんなバカを喜んでいる。いいカモになるからだ。考えないバカはいいようにこき使って、自分達に都合よく利用したり、税金を巻き上げることができるからだ。国や社会にこき使われたくなければ、勉強しろ。勉強して賢くなれ」

そして桜木は最後に言い放つ。

「バカとブスこそ東大に行け!」

受験技術編


中学の復習をしっかり仕上げよう

受験勉強の早い段階で、中学の復習をしっかり仕上げる。
3週間程度で、ドリル等を使用する。完璧にミスがなくなるまで、最低5回は繰り返したい。

バカ同士で互いに教え合おう

敢えて「バカ」と大書されたハチマキをしめて教え合うことには、以下の効果がある。
  • 教わる側は、「(こんなバカができるのだから)自分もできるはず」と思うことができる。
  • 教える側は、教えることを通じて、知らず知らずに自分の知識が整理できる。

ツイッターを始めよう

ツイッターで、勉強の進捗をツイートする。
周囲に勉強の進捗を知らせることにより、勉強をサボれなくなる。

記憶術にはコツがある

記憶力そのものには、みんなそれほど差はない。
本質を意識すると記憶しやすくなる。
例えば英単語 unite/unicorn/university。これらは皆 uni で始まっており、語源に共通点がある。
uni が「一つの」という意味であると理解していると、これらの英単語は覚えやすい。
  • unite : 「一つにする」→「結合する」
  • unicorn :  「一角獣」
  • university :  「一つの世界」→ 「宇宙」

第4話「親と友の愛を信じろ!東大合格へ導く10か条!」


ドラマ編「瀬戸の借金問題が解決し、受験に専念できるようになる」

東大専科・藤井対決以来、藤井は東大専科が腹立たしくも気になるようになり、時々廊下から東大専科の様子を伺うようになっていた。

そんな中、東大専科生の瀬戸が、学校に現れなくなった。心配する東大専科生たちは、瀬戸が姉と二人で切り盛りする「ラーメン瀬戸屋」に、ラーメンを食べに行ってみる。しかし店は閉じていた。店のシャッターや壁一面には、中傷ビラがびっしりを貼り付けられていた。これらは皆、ヤミ金が貼り付けたものであった。

心配する東大専科生たちであるが、桜木は「心配するな。」「瀬戸は自分のことは自分でできる。」「瀬戸を信じろ。」と告げる。それでいいのだろうか?と不安がおさまらない東大専科生たちを尻目に、桜木は落ち着き払っている。

両親を無くした瀬戸姉弟は、二人で実家のラーメン屋の営業を続けている。半年前運転資金に窮した姉は、ヤミ金から100万円を借りてしまったのだ。違法な利息はどんどん膨らみ続け、元本を返済してもまだ借金は終わらないのであった。

ラーメン屋を閉じていたのは、瀬戸がアルバイトを探し回っていたからであった。学校がアルバイトを禁止していることが知られており、なかなか採用してくれるアルバイト先が見つからなかったのである。

ようやくガソリンスタンドでのアルバイトもみつかり、瀬戸はラーメン屋の営業を再開する。店を訪れて、何も言わずにラーメンを食べる桜木と水野。

そこへ半グレ風の、ヤミ金の借金取りが客を装って訪れ、ラーメンを注文する。当然彼らが大人しくラーメンを食べに来たはずがない。虫が入っていたと因縁を付けはじめ、どんぶりを床に叩きつけて割り、大声で借金を返せと喚き始める。

桜木と水野は借金取りに立ち向かい、これらの営業妨害は「威力業務妨害」にあたること、また店の壁にあることないこと中傷ビラを貼り付けるのは「嘘の流布」であり「偽計業務妨害罪」に問われることを厳しく言い渡す。桜木と水野が弁護士であることを知った半グレは、捨てゼリフを残しつつ店を出ていく。

この後すぐに瀬戸は、借金返済のためにラーメン屋と掛け持ちではじめたガソリンスタンドのアルバイトをクビになる。桜木が店長にやめさせたのであった。

借金をどうやって返済して行けばいいのかと困惑する瀬戸。しかし桜木は、借金はもう無くなったと瀬戸に告げる。それどころか桜木は、数十万円にものぼる過払金が入った封筒まで、瀬戸姉弟に手渡すのであった。桜木はいったいどんなマジックを使ったのか?※ネタバレ防止のため自主規制

こうして登校を再開することができた瀬戸は、真剣に東大受験に向き合うようになっていた。

桜木は東大専科の数学指導のため、特別講師として柳鉄之介先生を招いた。柳先生は、老人で、作務衣に雪駄履きといういでたちである。常に竹刀を手放さず、机をビシバシとしばきながら、生徒たちに厳しい檄をとばす。今どきSNSで炎上しかねない人物である。

桜木と柳先生は、専科生たちに「バカ」と大書されたハチマキを締めて勉強させる。これまで解けなかった問題が解けると外せるというルールだ。これは、ハチマキを外せることが快感を生じさせ、問題に取り組む意欲に繋がるという効果があるのだ。

専科生たちが「バカ」ハチマキを締めて勉強する様子が学園で話題になり、例によって廊下には野次馬たちが詰めかける。野次馬の一部がこれをSNSに投稿したため、天野と早瀬が東大専科で東大を目指していることが、親バレしてしまう。

天野と早瀬の両親が、憤って学園に乗り込んでくる。親に黙っていたこと、東大を目指すなどという無謀なことを行っていることに怒っているのだ。

桜木は、世の中で偉業を成し遂げる人間は、突き進もうとする強い意思を必ず持っている。もちろん天野と早瀬もそれを持っている。二人は必ず東大に合格する、と親たちに告げる。

桜木は続ける。何故親に黙っていたのか?それは親が子を信じていないからだ。子を信じていない親は「東大なんてどうせ受かるはずがない」という先入観から入り、子どもの目標を否定し諦めさせようとする。10代の子どもが親に何かを相談しても、たいていは否定されて終わることが多い。子どもはそれをわかっているから、親に相談しないのだと。

天野と早瀬の親は、子どもにそんな思いをさせていた原因は自分たち自身であることを思い知る。反省した親たちは桜木に、子どもたちをよろしくお願いしますと頭を下げる。

そんな親たちに桜木が示したのが、これから1年間、受験生の親たちが守るべき「東大合格10か条」であった。

受験技術編

苦手分野の徹底暗記を行え。
勝負に勝つためには、まず自分の弱点を知り、それを克服すること。受験生の場合、弱点=苦手科目である。まず苦手分野を徹底的に暗記してカバーせよ。

スタサプを活用しろ。
スタサプでは、一流講師による優れた授業動画を格安で、しかもいつでも都合のいい時に視聴できる。「ITを制す者は受験を制す」である。

数学は、小学2年生まで遡ってやり直せ。
数学が苦手なのは、計算力が足りないからである。そして計算力の分れ道は、実は小2にあるのである。小2レベルの
計算問題から徹底的にやり直せ。

東大合格必勝法・家庭の10か条
  • 一緒に朝ごはんを食べること
  • 何か一つでも家事をさせること
  • 適度に運動させること
  • 毎日同じ時間に風呂に入らせること
  • 体調の悪いときは無理させず、休ませること
  • リビングはいつでもかたづけて置くこと
  • 勉強に口出ししないこと
  • 夫婦仲良くすること
  • 月に一度、家族で外食すること
  • この10か条は父親とも共有すること

2番の家事については、子どもが男子であっても当然当てはまる。家事に男女は無いのだ。
8番の夫婦仲は、平穏な日常生活の基盤であり、子どもが勉強に打ち込める環境の大前提だ。
全体のポイントは、日常生活を大事にすること、家族の日常を変えないこと、に尽きる。家族の日常に異変があると、子どもは自分の受験が家族に負担や迷惑をかけていると感じるようになり、それがプレッシャーになってしまうのだ。

第5話「大人が導く子の未来!不可能からの大挑戦!」

ドラマ編「藤井 vs 東大専科生、再対決」

藤井は前回の東大専科生との対決の結果が気にくわず、あれ以来大荒れに荒れている。

着実に東大専科生たちの実力を底上げし、実績を上げていく桜木たち。しかし大場理事長は、「数学はスパルタだ!」と生徒たちをしごき上げる東大専科に不満を募らせていた。桜木が数学の特別講師として招いた柳鉄之介先生は老人で、常に竹刀を手放さず、この竹刀で生徒たちの机を激しく叩きながら指導するような、少し時代錯誤な人物なのであった。

大場理事長は、理系学年トップの藤井と東大専科生との再勝負を持ちかける。条件は以下であった。

  • 勝負は再び2週間後
  • ハンデ無し
  • 共通テストで勝負
  • 各教科の代表専科生 vs 藤井で勝負
  • 藤井は、負けたら専科の合宿に強制参加する

専科生たちには、藤井との勝負の日まで、いくつかの課題が課せられた。

一つは、英数国の基本ドリルである。これを勝負の日までに5周繰り返せという。これは基本事項の徹底暗記を目的としている。暗記はやみくもにやってもダメで、中途半端に覚えたつもりが一番危険なのだという。実際の入試問題では、似たような選択肢を並べて迷わせてくるからだ。暗記にはドリルの繰り返しが効果的なのだという。

もう一つは、語彙力の強化という課題だ。語彙力の強化には、みんなで行えるゲーム「マジカルバナナ」が効果的だという。これは「マージーカール・バーナーナ!」の掛け声で開始して、手拍子を取りながら順番に、同義語(あるいは類義語、または反対語」を声に出して言って次の者にまわしていく、というゲームである。

例えば「漢字二文字で類義語を上げていく」というお題の場合、「天気」→「晴天」→「雨天」→「豪雨」→「曇天」と回していくわけである。リズムにのって時間内に答えるのがポイントで、脳の活性化や気分転換にも効果があるという。

東大専科打倒に燃える藤井。藤井は、むしゃくしゃしながら校内を移動していた折、中庭の芝生の上に這いつくばって虫探しに夢中になっていた原を見かける。藤井は原に近づいて優しい言葉をかける。喜んだ原は、藤井も観察しろと大切な虫かごを藤井に手渡す。藤井はこの虫かごをラグビーボールのように遠くに蹴り飛ばす。怒りでキレる原を藤井は嘲笑い散々侮辱して、せいせいした様子で立ち去っていく。

近くに居合わせた小杉。小杉は文系学年トップの秀才であり、また常に原をかばう、原の唯一の理解者だ。小杉は藤井に抗議し、また大切なものにひどいことをされて傷つけられた原を慰める。

そこへ桜木が現れ、原を専科の理系代表に指名する。「世の中には色々な人がいる。希望するなら発達障害者も受け入れる」という大場理事長の方針で学園に受け入れもらった、原は発達障がいの生徒なのだ。しいて特技というか特徴をあげるとしても虫が大好きということくらいしかない。成績は理科以外オール1だ。そんな原だが、桜木から何やら参考書のようなものをもらい、何故か夢中になって勉強を始めるようになる。

やがて原の成績がみるみる上昇し始める。不思議なのは、理系科目のみならず英語の成績まで急上昇しはじめたことだ。

桜木によると原には、理科の授業で昆虫標本を見せられたことで、理科への学習意欲をすっかり無くしてしまった過去があるという。昆虫が大好きで、昆虫と人間が共生する社会を夢見る原には、殺処分されピンで標本箱に刺された昆虫たちの姿はあまりに無残で、見るにたえないものであったのだ。何かのきっかけで理科に対する興味を取り戻せば、本来原は非常に高いポテンシャルを持っているのであった。

また原は発達障がい者の特徴として、聴覚的記憶能力が低いのだという。しかしその分、視覚的に覚えたものは忘れないという長所もあるのだという。桜木が原に渡した教材には、写真や図解がふんだんに使用されていた。このような参考書を使用した学習が原にはとても合っていたということだ。

成績上昇を素直に喜ぶ原を、桜木は「東大には講義の書き起こし文化があり、発達障がい者であっても授業についていける配慮がされている」と話し、原の進学意欲をかきたてる。

では英語の成績まで急上昇したのは何故か?桜木が原に手渡した教材は、実は参考書などではなく、ハーバード大学の教授が書いた、昆虫に関する英語論文であったのだ。英語論文を解読し、更には英文で教授に返事を書くために、原は英語も猛勉強したのであった。まさに「好きこそ物の上手なれ」である。

そんな原ではあったが、聴覚から入ってくる情報の記憶能力が低く、またコミュニケーションが不得手という発達障がい者の特徴上、英語リスニングと国語現代文はダメダメである。

このため原の庇護者のような存在である小杉が、勝負の当日から東大専科に合流してくれることになる。

ところが試験当日、理系科目代表の原が、突然試験を拒否する。東大にも行かない、行きたくないという。

これは藤井の仕業であった。藤井は試験開始の直前に、原に或る動画を見せていたのであった。動画の内容は、昆虫の解剖動画であった。藤井は、東大に進学したら昆虫の解剖が必須だと吹き込む。昆虫との共生を夢見る原は、動画を見てぶるぶる震え青ざめる。

そんな原を藤井は、「ショックなんか受けやがって、お前バカか?虫の命に価値なんかねぇぞ?」とあざ笑う。さらに「お前もそうだぞ?生きてるだけでメーワクなんだよ!」と言い放つ。

i の独り言。
まさに小山田圭吾。もしも放映時期があと2ヶ月遅れていて、小山田圭吾のオリンピック騒動と重なっていたら、この回はこのまま放映できなかっただろうと思います。

桜木は教室に来ない原を探し、見つけだす。一部始終を聞く桜木。原の話を聞き終えた桜木は、「昆虫が傷つけられない社会、人と昆虫が共生できる社会を夢見るのなら、社会を変えろ!研究者になればそれができるかもしれない。そのためには東大に入れ!東大に入れてやる!」とゲキを飛ばす。

桜木に諭された原は東大進学を決意し、数学の試験20分まえに無事に教室に戻るのであった。

さて、試験結果である。


生徒数学英語国語
藤井162170169
専科■■■
■■■
小杉
■■■
小杉

i の独り言。
原の数学の得点に刮目!! ※ネタバレ防止のため自粛
小杉さんが英国で驚異の得点を叩き出している!! ※ネタバレ防止のため自粛

勝負は、東大専科の勝ちであった。桜木は、藤井の敗因の一つは仲間がいないことだという。難関大コースの所属者は藤井一人だが、そもそも藤井はひねくれ者で元から友達がいない。

地方の進学校の生徒が東大受験に強いのは、これまで切磋琢磨しあってきた大勢の仲間と共に受験するからだという。藤井のように仲間のいない受験生は、そんな受験生に囲まれるといわば完全アウェー状態になり、不利なのだという。

しかし、敗北を認めず、原への謝罪も拒否して、教室を立ち去る藤井であった。

一方の東大専科でも新たな問題が持ち上がる。小杉が東大専科をやめるというのだ。父親が女子の大学進学に猛反対なので、小杉は大学には進学しないのだという。父親は、家庭内では妻子に暴力を振るうような人物であるらしい…。

受験技術編


暗記のコツ

やみくもな暗記は、試験で必ずしも得点に結びつかない。試験では、似たような選択肢を並べて受験生を惑わせてくるからだ。中途半端に覚えたつもりがかえって危ない。試験形式のドリルを繰り返し解いて覚えるのがよい。

第6話「夢をあきらめるな!大切な友のために戦え!」


ドラマ編「小杉、東大受験を許される。藤井、仲間に加わる」

東大専科の2泊3日の合宿が始まった。前回の藤井との試験勝負で、東大専科側の助っ人として参加した小杉も、みんなから誘われて参加することになった。

前回の試験勝負で負けた罰ゲームとして、藤井も合宿に参加する。藤井はメモを取りながら熱心に授業を受ける。東大専科への2度の敗北を経験して、心境に何か変化が生じつつあるようだ。

合宿1日目

1日目の学習は、中庭での20分の競歩のあと始められた。「歩く」という運動は、心身の活性化にとても効果があるらしい。

合宿期間中は、1日16時間勉強してもらうと告げる水野。これから一体どんなシゴキを受けるのかと、緊張しつつも期待を隠せない東大専科生たち。

ところが桜木は「今日は1日好きな場所で好きなように、自由に勉強しろ」とだけ指示する。好きに勉強しろと言われ、戸惑う東大専科生たち。何人かは教室をふらっと出て行ってしまう。そんな一人が例えば瀬戸で、彼は海辺で英単語の暗記を始める。天野も外に出て、スタサプで授業動画を見はじめるが、コクコクと居眠りを始める。早瀬はただ外をぶらぶらする。

教室を出ていった3人は、教室に残って勉強している他のメンツの様子が気になって仕方ない。仲間に負けたくない気持ちから、一人また一人と、やがて全員が教室に戻ってくる。

自由にしろと言われても、結局サボれず、教室の中で一心に勉強に打ち込む東大専科生たちは、仲間との競争心が勉強の重要な動機付けの一つになっていることに気づき、あらためて仲間の大事さを認識する。

桜木は水野に「子どもの価値観を認めて、信じることが大切だ」と語る。

この日の昼食メニューは、ポークカレーとだし巻き卵であった。だし巻き卵はほうれん草入りである。この受験勉強食については、受験技術編にて後述する。

合宿2日目

2日目の朝は、朝6時に起床し、ラジオ体操から始まった。ラジオ体操の効能については、受験技術編にて後述する。

服装は、私服ではなく学校の制服着用を義務付けられた。本番の受験では、朝6時に起床し、制服を着て受験することになる。これは、なるべく本番と同じ状況で勉強を行うという配慮である。

合宿2日目は、国語の特別教師として太宰府治先生が招かれた。

太宰府治先生によると、読解力とはすなわち要約力、つまり作者が言いたい事を理解して要約する力なのだという。この力は本来、幼い頃の親の読み聞かせや、子どもの頃の読書で徐々に身についていく力である。

しかし太宰府治先生曰く、残り1年でも読解力を身に付けることは可能なのだという。それは、文章には構造があるという事を知り、その構造の読み取り方を学ぶというやり方である。

太宰府治先生は、国語は科学であり、小説などの創作は建築学である、したがって文章には「構造」が存在すると語る。文章の言いたいことは結局一つであり、それを手を替え品を替えして言ってくるわけである。そして文章の言いたいことは、この「構造」に注目すれば読み解けるというのだ。

論説文には、特に重要な3つの構造がある。これは受験技術編で後述する。

  • 同等関係(言い換え)
  • 対比関係
  • 因果関係

この中で読解力の要として最も重要なのが「同等関係」すなわち「言い換え」である。

「言い換え」といえば、例えば数学は結局、与えられた文章題を数値や数式に「言い換える」同値変換である。日本史も、教科書で得た知識を、設問に合致する形式で答える「言い換え」である。英語も、英文和訳などは英文を日本語文に訳す「言い換え」である。

このように、読解力は実は全教科に必要な力なのである、と太宰府治先生は語るのであった。

合宿3日目
3日目の朝は、中庭で円になり、歩きながらしり取りゲーム方式で英単語を学習することから始まった。このように体を動かしながらのほうが、暗記ものは覚えやすいのだという。

合宿3日目は、2日目に学んだ読解力を駆使して、実際に要約に取り組んでみることになった。太宰府治先生は、太宰治の名作「走れメロス」を読み、制限時間10分で100字に要約しろという課題を、東大専科生たちに与える。

太宰府治先生はまず、東大専科生たちに「走れメロス」からキーワードをピックアップさせる。その結果、以下の語がキーワードとして浮かび上がった。

「諦める」
「仲間」
「信じる」
「友」
「メロス」
「約束」
「人質」
「邪智暴虐の王」

これらのキーワードを、文章全体のメッセージ「友を信じて待て」と調和する形で適切に並べると、自ずと要約文が完成するのだ。

キーワードの並べ方には、以下の2つがあるという。これは受験技術編で後述する。

  • 時系列
  • 主語述語法

東大専科生たちは、学んだ技術を生かし、各自立派な要約文を完成できるようになった。

ちなみに、以下は模範解答である。カッコ内はキーワードである。

『「メロス」は「邪智暴虐の王」に直訴し処刑されそうになる。だが親「友」のセリヌンティウスを「人質」に、三日の猶予を得る。彼は困難にも「諦める」ことなく「約束」通り戻る。彼と友との絆を見た王は「信じる」心に感動し、改心して「仲間」になる。』(100字)


順調に見えた合宿であったが、水面下ではある異変が起きていた。小杉の家庭の問題である。小杉が東大専科に参加していることが父親にバレてしまったのだ。小杉の父親は女子の高等教育には猛反対という人物だ。父親は激怒し、小杉に家庭内暴力を振るう。母親は娘が可哀想で仕方ないが、恐れから夫のいいなりになっており、娘をかばってやることができない。この父は、まさに「邪智暴虐の王」である。

小杉の父は、妻と小杉本人を伴って学園にやってくる。娘の退学手続きに来たという。娘は高校を中退させて就職させ、いい相手を見つけてやってさっさと結婚させるのだという。それが女にとって一番幸せな生き方であり、女に学歴など必要ないのだという。自分は娘の事を思いやっているのだという。

本人の意思を確認された小杉本人も「大学には進学しません」と答える。もちろんこれは、父に暴力を振るわれて言わされている言葉にすぎない。

桜木は、小杉の父親に問いかける。
「女に学歴は必要ないと言うが、学歴がないため悔しい思いをしてきたのは、あなた自身ではないのか」
「学歴に一番こだわっているのは、あなた自身ではないのか」
「あなたは自分の学歴に強いコンプレックスを抱いている」
「そしてただ、娘を自分より優位に立たせたくないだけだ」
「力で娘を押さえつけ、娘を傷つけ、それで娘の事を思いやっていると言えるのか」

小杉の父親は、本質を突かれて憤怒の表情を浮かべ、引き下がろうとしない。

小杉の顔にかすかに残る腫れ跡から家庭内暴力に気づいた桜木たちは、学校には子どもを保護する義務、そのために適切に行動する義務があ流ので、家庭内暴力として警察に連絡すると、小杉の父親に告げる。

真っ青になり動揺する小杉の父親。しかしそんな父を、小杉はどうか警察には連絡しないでほしいとかばう。小杉の父は、娘がまさか自分をかばってくれるとは思っていなかったのか、驚きの表情を浮かべる。

桜木は小杉の父親に、小杉の父親の父(小杉からすると祖父)が10年前に死んだこと、会社を引き継いだこと、その会社の経営で苦労が続き人知れず泣いていたことなどを、娘である小杉は全て知っている、と告げる。だからこそ、こんな邪智暴虐な父がいつか優しい人に戻ってくれると信じているのだと。

そして小杉の父にこう迫る。「親がクズだろうと信じて待つ娘を、あんたはいったいいつまで裏切るのか」

自分を「信じ」て待つ娘の心を知った「邪智暴虐の」小杉父は遂に改心し、小杉が東大を受験する事を認め、深々と頭を下げ、桜木に娘を託すのであった。

仲間から祝福される小杉。そんな小杉をうらやましげに見る生徒がいた。もう一人の「邪智暴虐の王」ともいえる藤井であった。藤井も実は、家庭の居心地はすこぶる悪いのである。兄二人が極めて優秀なのだが、本番に弱い藤井は高校受験に失敗して、不本意にもレベルの低い龍海学園に進学した。このため家の中では肩身の狭い思いをしているのだ。

そんな藤井には、もちろん学園内に仲間などいなかったし、藤井自身も仲間など必要ないと傲慢に振舞ってきた。しかしこの合宿を通じて、藤井には東大専科生たちに対する仲間意識と、仲間の大切さに対する意識が生まれていた。

そんな藤井に桜木は、約束通り罰ゲームとして合宿に参加してくれたこと、東大専科生のライバルとしてみんなの意欲を掻き立ててくれたことについて、感謝をのべる。東大専科生の生徒たちも、皆感謝の言葉を藤井に述べる。

桜木は藤井に、罰ゲームは終わったので、明日からは元いた「難関大コース」に戻って構わないという。

ハシゴを外されて当惑する藤井は、自分自身の口からこう発言する。

「俺も…」
「俺も、東大専科に入りたい!」

自分にひどい事をしてきた藤井を、原は快く許し、藤井の手を取りこう告げる。

「ウンウン…一緒に勉強しよ!」

藤井は原に「こないだはゴメン!」と心から謝罪するのであった。

受験技術編


論説文の主題を読み取る

文章が言いたいことは、結局のところ一つ。これを手を変え品を変えして言ってくるのである。文章が本当に言いたいことを正しく読み取るためには、以下の3つの文章構造を見落とさないことが重要だ。

同等関係

同等関係とは言い換えである。具体的な(絵にかける)事を抽象的に言い換えるのが同等関係だ。

例をあげる。下記のAとBが同等関係である。

A1「雨だと思っていたが、晴れた」
A2「怒られると思っていたが、怒られなかった」
B「つまり、予想外のラッキーな展開が重なった、というわけだ」

Aは具体的、Bは抽象的である。AとBが「同等関係」である事を見落とさなければ、Bを読むことにより、Aで何を言いたいのかがよく理解できる。

同等関係では、以下のキーワードがよく使用される。
「いわば」
「すなわち」
「つまり」
「すなわち」
「例えば」
「要するに」

これらのキーワードが登場した場合、自分が今読んでいるのは、先に登場したA(具体的)の言い換えB(抽象的)であるという事だ。

対比関係
主張と反対のものを示すのが「対比関係」である。主張を明確にすることが目的である。

対比関係では、以下のキーワードがよく使用される。
「しかし」
「ところが」

因果関係

例1「宿題を忘れた。だから叱られた。」
例2「叱られた。なぜなら、宿題を忘れたからだ。」

例1と例2は、どちらも「因果関係」の例である。例1は、原因→結果という因果関係である。例2は、結果→原因という因果関係だ。

要約の技術
まず文章のキーワードをリストアップする。例えば太宰治の「走れメロス」の場合、以下がキーワードである。
「あきらめる」
「仲間」
「信じる」
「友」
「メロス」
「約束」
「人質」
「邪智暴虐の王」

次にキーワードを並べ替え、文章としてつなぐ。

並べ替えには、以下の2つの方法がある。
「時制法」
「主語述語法」

「時制法」は、キーワードを起きた時系列に並べて文章化する方法である。

もう一つの「主語述語法」は、キーワードをその主語に応じて分類し、主語単位で文章化していく要約法だ。例えば次のような骨格の文章になる。カッコ内は予めリストアップしたキーワードである。

文1、主語「メロス」→『「メロス」は、「友」を「人質」にした。』
文2、主語「邪智暴虐の王」→『「邪智暴虐の王」は、「約束」を「あきらめる」ことなく「信じる」心に改心し、「仲間」になる。」

「時制法」「主語述語法」いずれの場合も、文章のメッセージに沿う内容になっていることが重要だ。「走れメロス」の場合、「友を信じて待て」がメッセージである。

受験勉強と食事。ポークカレー
豚肉には、ビタミンB1が豊富である。ビタミンB1には倦怠感を無くす効果があり、長時間の受験勉強中のダレを軽減してくれる。

受験勉強と食事。ほうれん草入りだし巻き卵
だし巻き卵には、脳内の神経伝達物質である必須アミノ酸が豊富に含まれている。食べることにより、脳の活性化が期待できる。

ゆっくり、腹八分目に食べること
受験勉強中は、勉強時間を確保しようと、食事を急いで食べようとしがちである。しかし急いで食べると、血糖値が急に上昇する。そうなるとインシュリンが大量に分泌されてしまう。これが食後の眠気や倦怠感に繋がる。急いで食べるのはNGなのだ。

腹一杯に食べるのも、やはり食後の眠気に繋がるのでNGである。

第7話「生き残りをかけた東大模試!影で暗躍する陰謀!」

ドラマ編

東大専科に、英語特別講師が着任した。ゆりやんレトリィバァ演じる、ユリアンナ先生である。

iの独り言。
全米デビューに挑戦したこともある、ゆりやん。英語の発音は流石。

桜木には、東大英語の配点の1/4を占めるリスニング攻略が重要だと語る。

ユリアンナ先生は、リスニングの勉強は、ただ聞くのではなく、シャドーイングを行うことが効果的なのだと、専科生たちに説明する。

シャドーイングと言っても、初めから大きな声と流暢な発音で行う必要は全くない。初めは小声でブツブツ言う「もそもそシャドーイング」でよい。

こと外国語となると、日本人はとかく完璧でないといけない、恥だと考えがちだ。この点は、ヘタでも自信満々の外国人を見習うべきだ。彼らは「日本語を話せますか?」と尋ねられれば、自身たっぷりにきっとこう答えるだろう。

「オー、イエース!スシー!テンプーラー!カッラオーケー」(ドヤ顔で)

ユリアンナ先生の指導のもと、英語攻略に打ち込む東大専科生たち。そんな専科生たちに桜木は、6月の東大模試受験を命じる。桜木は専科生たちに、結果によっては、すなわち見込みが無いと判断したら、東大専科をクビにすると宣告する。

無茶振りすぎると抗議する東大専科生たち。しかし桜木は、次のように語り、抗議をまるで意に介さない。

「高いハードルによって、弱さが浮き彫りになる。」
「それを乗り越えようとするとき、強さが生まれるんだ。」

そして桜木は東大専科生たちに、「東大模試6か条」を授ける。

←「受験技術編」で後述。

東大専科生たちの、東大模試までの日々が過ぎてゆく。

今のところ東大専科の最後尾を走る瀬戸は、「先生を信じてついて行くしかないな」と楽観的だ。

優秀だが兄と仲は良くない弟を持つ天野は、弟から「A判定くらいとってこいよな」とプレッシャーをかけられる。なお「仲は良くない」は天野の主観である。

さて模試当日である。

弟からプレッシャーをかけられていて、それがずっとストレスになっており、緊張した面持ちの天野である。天野は模試会場となっている学校の構内で、藤井にばったり出くわす。

自信たっぷりの藤井は緊張で固い表情の天野に「専科クビになったら俺が教えてやるから、気楽にやれよ?」と、藤井ならではの励ましの言葉をかける。しかし今日の天野は、これが藤井なりのユーモアであることさえわからないほどテンパっている。天野は藤井の励ましを拒否して、不機嫌そうにスタスタと自分の教室に行ってしまう。

緊張のためお腹の調子がよろしくなく、天野は男子トイレの個室にこもる。すると個室の外で他の学生たちの会話が聞こえてきた。彼らの会話内容は天野が配信している動画の感想で、「あの動画、俺も頑張ろうって励みになるよなぁ」という好意的な内容であった。

天野は、英語の勉強や受験のモチベーション維持のため、英語や受験をテーマにしたラップを配信しているのだ。ちなみにラップ動画の中では、金髪くるくるパーマのヅラを被り、チャラいパーティメガネをかけて、ファンキーないでたちである。天野はあわてて、自分が動画を配信しているサイトにアクセスしてみる。すると最近アクセスが激増しており、なんと3万PVを超えていた。コメントもポジティブなものが非常に多い。大勢の受験生が見ていてくれ励ましてくれていることを知り、天野は俄然やる気を出し始める。

さて、こちらは早瀬の教室である。午前の試験が終わり、昼休みだ。午前の試験のデキがいまいちだったためあまり食欲が出ない早瀬だが、周りの生徒たちは皆ガッツリと昼食を食べているのを見て、そのパワフルさにますます気圧される早瀬であった。

そうして東大模試が終了した。朝イチは自信たっぷりだった藤井は、実際には予想以上の苦戦をしいられ、表情が固い。教室を退出して校門に向かう途中、藤井と天野は再び出くわす。元気を取り戻している天野は、朝の非礼を藤井に詫びる。しかし藤井は固い表情のまま、足早に立ち去ってしまう。

翌日の東大専科教室。東大模試では、他の受験生たちのパワフルさにただただ圧倒されっぱなしだった早瀬である。早瀬は感想を聞かれ、「時間が長く感じた」「ちょっと自分には無理かなと感じた」と答え、元気がない。

そんな早瀬は、もう8時だというのにまだ帰宅しようとしない。そんな早瀬を、桜木たちは瀬戸姉弟が切り盛りするラーメン屋「瀬戸屋」に誘う。

瀬戸屋で早瀬は、「みんなあんなに打ち込んでいてすごい」「私は何かに頑張ったことが無いんだよね」「私なんかが東大目指していいのかな」といった心情を吐露する。

桜木は、「早瀬は生まれながらの幸運の持ち主だ」と、早瀬が思いがけなかったことを述べ始める。早瀬は「自分はあらゆる点で全く普通だ」と反論するが、桜木曰く、それこそがまさに幸運なのだという。他の生徒には必ず何かある。例えば瀬戸なら、両親を無くし、残されたラーメン屋を姉と二人で維持していかなければならない。

桜木は話し続ける。自分が幸運だと気づかない人間は、現状に満足することができない。なのでずっと何かを追い求め続ける。ちょっと辛くなるとすぐに諦めてしまう。そうして次から次へと違うことに乗り換えていくが、何をやっても長続きしない。「覚悟」というものが欠如しているのだ。早瀬の場合、またそんなとき親が、ではピアノ、では書道、と次から次へと与えてくれるような人たちであったため、この「覚悟」が育ってこなかったのだ。

桜木は、「そんな人間は幸せになれない」と断言する。そして桜木はこう畳み掛ける。

「幸せになりたければ覚悟を決めろ!」
「早瀬、お前は幸運を持っている。人生をムダにしたくなければ、その運に乗れ!」
「本気で東大を目指す覚悟を決めろ!」

東大模試から数週間が過ぎた。いよいよ模試結果が返却されてきた。東大専科の教室で、結果を知らされる専科生たち。以下は結果である。


生徒判定備考
小杉Aさすが安定の秀才
なんと藤井より上!
数学だけみれば小杉さえしのぐ■点(120点満点中)で、
なんと偏差値■!
藤井D苦手科目が足を引っ張っている。
苦手科目克服が今後の課題
早瀬
天野
岩崎
瀬戸
E早瀬が最もDに近い

※ネタバレ防止のため自粛

E判定だった瀬戸、岩崎、天野、早瀬はしょんぼりしている。そんな4人を桜木は笑う。キョトンとする4人に、桜木はこう告げる。

「失敗したら、こうやって笑って、笑い飛ばせばいい。そして次頑張ればいい。」

瀬戸は「でも俺たち専科クビだろ?」と、と不思議そうに反応する。桜木は「E判定だったらやめろとは、自分は一度も言っていない。自分はただ、模試の結果見込みがなければやめてもらうと言っただけだ」と言う。そしてこう続ける。

「この結果(E判定)を見て、それでも東大にいきたいと思える人間なら、見込みはあるぞ!」

わぁっ、と歓声をあげる、E判定の生徒たち。

なお桜木に夜と、E判定は「ビリから20%」の意ではない。実際には次のような内訳になっている。つまり半数はE判定になるというわけである。


判定分布
A8%
B10%
C10%
D22%
E50%

なお桜木と共に東大専科をサポートする桜木の元教え子・水野は、東大卒の弁護士であるが、高三のこの時期はやはりE判定であったという。

桜木は、勉強は飛行機の離陸と同じだと語る。

「走って走って、最後にフワッと浮くんだ。」
「一旦浮いたら、そこからは一気に上昇だ!」

iの独り言。
先着順・無試験で入塾させた塾生の8割を御三家等の超難関校に合格させることで有名な、カリスマ算数教室の宮本哲也先生をご存知ですか。宮本先生も、著書「強育論」の中で、似たようなことを述べてらっしゃいますね。
「飛行機(子ども)は、追い風では飛べない。向かい風で初めて飛べる」

ぶすっとしている、D判定藤井。桜木は「こんなんじゃないと思ったのか?その悔しさを忘れな!」という。藤井は「ふざけんな!」と声を荒げ、涙を流す。桜木は藤井に「涙が出るほど悔しいか?その悔しさを二度と忘れるなよ!」とゲキを飛ばす。力強くうなづく藤井であった。

そんな藤井に天野は「模試のときはゴメン…あの時はいっぱいいっぱいだったから」と、藤井に冷たくしたことを改めて詫びる。藤井は天野(E判)に「E判定なんて、見たことねーよ」と皮肉で返す。涙を流し、桜木にカツを入れられて、ようやくいつもの藤井らしさを取り戻せたようだ。

一方理事長室では、前理事長の陰謀が明らかになりつつあった。前理事長は学園を廃校にして敷地を売却する計画を進めているのであった。詰め込み教育に反対する現理事長が「東大合格者が5名でたら理事長を退任する」という約束をさせられたのは、学園の売却に反対する現理事長を追い落とすための陰謀だったのであった。

桜木の元にも、売却計画の詳細を記した文書が、何者かのリークによって届くのであった。

受験技術編


リスニング攻略
東大英語の配点は、リスニングが1/4を占めており、重要だ。

リスニングは慣れだが、慣れには時間をかける必要がある。多くの受験生は、ギリギリまでリスニング対策をおこなわず、失敗してしまう。早くに開始することが重要。

東大模試6カ条
1、東大模試は年6回は受けること。

東大入試は、1科目だけでも2時間以上あり、大変な長丁場となる。慣れが絶対に必要である。東大模試は各予備校のものを合わせると年10回以上開催されるので、6回は受けて長丁場の試験に慣れておくこと。

2、国語は必ず古文から始めること

古漢は、現代語訳以上のことは求められない。勉強すれば確実に点が取れる科目である。

これに対し、現国は難解である。先に現国から着手すると、ハマってしまい、本来点を取りやすい古漢にまわせるはずだった時間が足りなくなってしまいがちである。

3、数学は言葉で方針を書く

数学が苦手な人には、難解な東大数学において、数式を書き回答を仕上げるのはほぼ不可能である。

そこでまず、「自分はこういうふうにこの問題を解きたいと思っている」という考え方・方針を書く。そうすると少しは点がもらえるのである。

東大数学では、途中経過も評価される。こうすれば解ける、という方針を示すだけでも点はもらえるのだ。とにかく何かを書くこと!

4、おやつを持っていくこと

東大模試は通常、9:00〜19:20までの長丁場となる。文系国語などは2.5時間もの長時間だ。

エネルギー補充とリフレッシュのため、休憩時間のおやつは欠かせない。

5、社会は既習範囲しか出題されない

例えば6月模試なら、近現代史は出題されない。余計な勉強はしないこと。

6、英語リスニングはメモを取るな

リスニングは回転寿司と同じだ。次から次へと英語は流れて来る。メモを取ろうとしても結局追いつかず、むしろ大事な要点を聞き漏らしがちである。メモを取ろうとするな。

リスニングが流れる前に、設問にざっと目を通すこと。どんな文が流れるのか、事前に予想することができる。リスニングの内容が格段に記憶に残る。

第8話「自分の人生を生きる覚悟を持て!巨大な陰謀の幕開け!」


ドラマ編

学園売却を巡る陰謀は、徐々にその真相を明らかにしつつあった。学園の跡地を大型リゾートとして開発する計画が進行しており、すでに学園周辺の土地の大部分が買い占められていた。

この大型リゾート計画には周辺住民は大反対である。もちろん現理事長も反対だ。前理事長が「東大合格者を今年度5名出せたら、理事長を退任する」という約束を現理事長にさせ、誓約書まで書かせたのは、反対派の前理事長を追い出し、理事会で学園売却の議決を成立させるための陰謀だったのだ。

対策に頭を悩ませる現理事長と校長、教頭たち。「東大合格者を4人に抑えればいい。そうすれば理事長が辞任する必要は無い」という提案が出るが、現理事長は「頑張っている生徒を裏切ることはできない」と、この提案を却下する。

一方桜木たち東大専科生指導陣は、専科生たちの現状分析を行なっていた。桜木は、専科生たちを次のように分析する。

小杉:合格ライン
瀬戸:現状は圏外。専科生の中で一番やばい
藤井:精神が実は一番弱い
岩崎:なにやら問題あり?

バドミントンの未来のオリンピック候補とまでいわれてきた岩崎である。彼女のダブルスパートナーであった清野は、県大会を突破し、インターハイ予選でも快進撃を続けていた。大学もバドミントン強豪校、青南学院への推薦入学を決めている。

一方の岩崎は、県大会で膝を痛めて途中棄権を余儀なくされ、その後は部活動も実質的な引退を余儀なくされていた。このことで毎日のように両親、特に父から嫌味をいわれ、ケガを責められていた。

両親はどこの大学からもバドミントン推薦入学の誘いが来ないことに大変苛立っている。そんな両親に、自分が東大専科で東大を目指していることをどうしても打ち明けられず、岩崎は苦悩しているのであった。

さて、東大専科の教室である。桜木は「東大と自分の距離を知れ」と語る。受験とは、志望校との距離を縮める営みである。東大模試は、自分の立ち位置、つまり東大との距離を教えてくれるものである。距離とは、自分が現状取れる得点と、合格最低点との差である。

2021年度の東大各学類の二次試験合格最低点と特徴について、桜木は以下のように説明する。
※二次試験は550点満点


学類最低点備考・特徴
理科I類333点理系で最も志望者が多い
最低点は高い
理科II類314点例年低い
5割切る年もあるほど
理科III類376点論外の超難関
合格するのは宇宙人
文科I類335点文系最高難度
対策期間1年では無理
2021年度は前年度より約9点下降
文科II類338点論理的思考を得意とする受験生が多い
文I同様、対策期間1年では無理
文科III類337点共通テスト8割、二次試験6割が目安
募集枠は文科最大


iの独り言。
「栄光の文I。レジャーランドの文II。理科IIも東大」という言い方もあるそうです。

このような最低点の傾向に基づき、桜木は東大専科生たちの志望学類を以下のように振り分ける。


専科生学類
天野理科II類
岩崎理科II類
理科II類
藤井理科II類
瀬戸文科III類
小杉文科III類
早瀬文科III類

文系トップの秀才・小杉には、桜木は「小杉は文IIでもいい」と告げた。しかし小杉は「私は文学を学びたいので文科III類でいい」と、自ら志願したのであった。

一方、理科I類志望だった藤井は、理科II類にレベル下げするよう桜木にいわれ、「んなカッコ悪いことできっか!」と反発する。

そんな藤井に桜木は「俺はお前らを東大に入れるだけだ」「感情のことまでは知らない」と突き放す。「東大に落ちたかったら好きにしろ」と桜木にいわれ、藤井はしぶしぶ理科II類へのレベル下げを了承する。

受験学部振り分けの後、学習が始まる。今回の特別講師は「お前ら自身だ」と桜木は告げる。具体的には、かわるがわる生徒自身が教壇に立って授業を行い、それをビデオに撮影するというものだ。※「受験技術編」で解説。

早速瀬戸は、自信満々で英語助動詞「must」の用法を講義する。瀬戸の講義内容の要点をまとめると以下のようになる。赤箇所は、小杉から間違いを指摘されたりフォローされた箇所である。

mustの意味:「ねばならない」
同義語: have to
分類: 助動詞。後続の動詞は現在形。
例文: "You must study right now."

コメントを求められた小杉は、ところどころ間違っている、あるいは情報が不足していると指摘する。小杉が指摘した箇所は以下の通り。

後続の動詞は「現在形」ではなく「原型」
同義語との違い: have toは客観的。mustは主観的で命令調。

瀬戸は「ついつっかりしてた」と頭をかく。しかし桜木は「何故うっかりした」と追求する。瀬戸は「頭でわかってても、口に出すとき間違えることもあるだろ、それだよ」と言い訳をする。

言い訳を咎めるかと思いきや、桜木はむしろ瀬戸が言い訳したことを褒める。ミスした時言い訳をしない受験生は伸びないというのだ。※「受験技術編」で解説。

さて、いよいよ夏休みである。1学期の最終日、東大専科生たちは、受験の成否はこの夏にかかっているので1日1日を大切に過ごすよう訓示を受ける。

どんな特訓が待っているのかと身構える生徒たちに告げられたのは、夏休みは登校日以外は自習で、特訓は特にないということであった。拍子抜けするとともに、どう勉強すればよいのか戸惑う専科生たち。

そんな専科生たちに、水野は性格診断法と、その診断結果に基づく学習法があるという。その性格診断法とは、例えば気になる本が何冊かあるとき、以下のどちらの読み方をするかというものだ。

A:同時進行で色々読む
B:一冊読み終えたら、次の本を読む

ちなみに専科生たちの自己診断結果は、次のようなものであった。

A:同時進行で色々読む
瀬戸(ただし図鑑やマンガくらいしか読まない)
早瀬
岩崎

B:一冊読み終えたら、次の本を読む
藤井(ただしつまらないと思った箇所は飛ばす)
小杉
天野

この読書スタイルから、以下の性格タイプに分類することができる。

A:同時進行で色々読む→拡散型
B:一冊読み終えたら、次の本を読む→保全型

水野は各タイプ毎にオススメの、夏休みの勉強法を専科生たちに教えるのであった。※「受験技術編」で解説。

桜木は、夏休みは徹底的に基礎を固める時期であること、それが秋以降飛躍的に伸びる土台になること、そうして一気に加速して受験に向かうのだと述べ、専科生たちの士気を高める。

また桜木は、家庭内で過ごす時間が長くなる夏休みほど家族の協力が必要になるので、以前説明した「家庭の10か条」を、休みに入るにあたって改めて家族に念押しするよう、専科生たちに告げるのであった。その目は、家庭に問題を抱える岩崎を見ているようであった。

さて、夏休みが始まった。瀬戸は、海沿いの一軒家風カフェ「ブラックパール」を勉強場所に決めた。ここは瀬戸の知り合いが経営する店である。

1日目は、この店に以下のメンツが集まった。

瀬戸
岩崎
早瀬
天野
小杉

ちなみにこの店は小橋、岩井の不良コンビのたまり場でもあり、二人は東大専科生たちに感化されて一緒に勉強をするようになる。

2日目は、藤井も合流した。藤井のノートは参考書並みに詳しい。「コピーしてもいいぞ」とノートを差し出す藤井に、「できる人のノートは勉強になる!」と、他のメンツも大感謝である。

3日目。岩崎は、毎日どこに出かけるんだ?と訝しがる両親に、「学校の体育館でトレーニングをしている」と嘘をついて勉強に来る。

4日目。水野がアイスを差し入れに訪れる。喜ぶ東大専科生たち。

そんな中、岩崎は電話で親から呼び出しを受ける。今すぐ某ホテルのロビーに来いというのだ。そこで岩崎を待っていたのは、両親と、バドミントンで有名な日本ユニシス実業団の菅井コーチであった。

ラウンジで菅井コーチと面接する岩崎。この面接は岩崎の父が菅井コーチに頼み込んで実現したものであった。この面接の結果、岩崎は夏休みの間、日本ユニシス実業団の練習に特別参加することになった。両親は「一ヶ月間、練習三昧だ」「一流選手のプレーも間近で見られるぞ」と大喜びである。

そんな両親に、岩崎は東大を目指していること、今は受験勉強に打ち込みたいという気持ちを打ち明けることができない。岩崎はどんどん追い込まれていく。やがて岩崎は、勉強場所に顔を見せなくなる。

5日目。今度は桜木が差し入れに訪れる。桜木は小橋・岩井の不良コンビから、「俺たちも早慶ぐらいだったら、今からでも目指せないかな?」と相談を受ける。

そんな小橋・岩井コンビに桜木は、「早慶は甘くない。むしろみんなと東大を目指してみろ」と誘う。※「受験技術編」で解説。

さて、夏休み中盤の登校日である。

東大専科生たちは、夏休み後半に再び東大模試を受験するよう告げられる。今回は、「自分の答案を全部憶えておき、帰って来て報告するように」と告げられる。具体的には、問題用紙の余白などに書いた下書きをもとにして、答案を再現し、自己採点するのだ。※「受験技術編」で解説。

6月の東大模試がE判定だった瀬戸は「次こそD判定!」と気炎をあげる。そんな瀬戸に桜木は「あまり期待しすぎるな」と忠告する。

夏休み後半になってくると、部活引退組が受験に本格的に参戦してくるからだ。これらのスポーツ組は、気力・体力・根性・集中力がすごい。

また本番が近くにつれ、受験者数も増加して点数も底上げしてくる。要するに強敵ゾロゾロというわけだ。

さて、夏の東大模試終了後の登校日である。

各自、再現して来た答案が集められる。集められた答案はシャッフルされ、生徒同士で採点が行われる。これには自分のミスは気づきにくいが、人のミスはすぐに気づくものである。他人の答案を採点することにより、間違えやすいポイントによく気づくことができ、レベルアップが期待できるのだという。

今回の結果と前回の結果を比較した結果は、次のようなものであった。


専科生前回(6月)今回(夏)
156201
小杉203225
藤井147171
天野104129
早瀬106138
瀬戸89111
岩崎118122

他の専科生全員が大きく得点を伸ばす中、岩崎はわずか4点しか得点が伸びていないのであった。

岩崎は「ただの夏バテだから」と言い訳する。瀬戸と早瀬は納得せず心配するが、岩崎はこれにキレてしまい、二人はそれ以上何も言えなくなってしまう。

瀬戸と早瀬は桜木を見るが、桜木は「岩崎。お前の人生は、全部お前が決めて来たんだ。それはこれからもだ。責任の取れる選択をしろ」と告げるだけで、それ以上詮索しようとしない。

じれったい思いの早瀬は、岩崎のあとをつける。そして岩崎が日本ユニシス実業団と一日中練習させられていることを知る。早瀬は桜木に岩崎の両親を説得するよう直訴するが、桜木は静観の姿勢を崩さない。

そんな中、岩崎が久しぶりに勉強場所であるカフェ「ブラックパール」にやってくる。岩崎は早瀬たちから心配されるが、「私は両方やれる」と主張し、また「これは私の問題だから」と仲間の忠告を拒絶する。

しかし勉強を始めた岩崎は、気を失って倒れてしまう。

岩崎は、病院で目をさます。倒れたのは、寝不足と疲労が原因であった。病院に駆けつけた桜木に、岩崎は「大丈夫だから」と気丈に振る舞う。

しかし桜木は、「大丈夫と言っている奴ほど、そうじゃない。」と述べ、次のように岩崎に告げる。

「もうやめろ。お前は、専科はクビだ。」

抗議し理由の説明を求める岩崎に、桜木は次のように説明する。

「見込みが無いと判断したらクビだと、以前言ったろう?」
「お前は、自分の弱さから逃げている」
「弱さと向き合えない奴に、東大は無理だ」

ここまで言われた岩崎は「親に言えない」と心情を吐露する。

「なぜ親に言えない?」と問いかける桜木に、岩崎は次々に本心を打ち明ける。

「だって、認めてもらえるわけがない。」
「言ったら、専科をやめさせられるかもしない。」
「親を失望させるのが怖い。」
「親は、私の夢を応援してくれている。それを叶えようとしてくれている。」

しかし桜木は、岩崎をじっと見つめてこう返す。

「それは、本当に優しい人間ではない。」
「自分が苦しんでいることを親に教えない、それは優しさか?」

ハッとする岩崎に、桜木は優しく語りかける。

「親の期待を一心に背負う必要は、一つもない。」
「親には親の、お前にはお前の人生がある。」
「お前が背負う必要があるは、お前の人生だけだ。」

そして桜木は、岩崎の覚悟を促す。

「親は化け物だ。誰よりも長く、強く、お前のことを思っている。」
「自分の人生を生きるためには、縁を切るくらいの覚悟が必要だ。」

入院を来いた岩崎の両親は、すぐに病院に駆けつけて来た。疲労と寝不足で倒れただけだったので、岩崎は既に退院して、ロビーで両親を待っていた。

iの独り言。
ここ、五反田にある関東通信病院ですね。通ったことがあるので、ロビーの様子からすぐわかりました。

遠くで桜木、水野、早瀬、瀬戸が見守る中、岩崎は意を決して、自分は東大専科で東大受験に打ち込む、これ以上実業団の練習には参加しない、と両親に告げる。

岩崎の父は激怒し、岩崎を平手打ちにする。そして岩崎を責める。

「10何年も積み上げて来た、オリンピックの夢を諦めるのか!?」
「俺がどんなに頭を下げて、実業団の練習に参加できるようにしたと思ってるんだ!」

しかし岩崎はキッとしてこう宣言する。

「私は、東大もオリンピックも、両方絶対に実現します。」
「東大ではスポーツ医学を学びたい。ずっとバドミントンに関わっていけるから。」

そして両親に深々と頭を下げていう。

「お父さん、お母さん。応援してください。お願い。」

父は、無言で病院を立ち去っていく。

こうして夏休みが終わり、二学期が始まる。

岩崎のバドミントンでのダブルス・パートナーであった清野は、インターハイ・ベスト4という輝かしい成績で、強豪校青南大への進学を確定していた。清野は岩崎に、「今度は現役東大生選手という肩書きで来い!」とハッパをかける。

小橋・岩井の不良コンビは、桜木から「早慶は今からでは遅い」しかし「東大が無理とは言っていない。やりようがある」と告げられ、「練習生」という形で東大専科に参加するようになる。

そんな中、学園の買収を目論む、女性弁護士・岸本、IT企業の社長・坂本、その仲間・米山、女性弁護士・岸本が学園に乗り込んで来る。

教え子米山の自殺騒動から社会的批判に晒され、経営を続けることが困難になった桜木の法律事務所を、引き継いで経営しているのが岸本弁護士である。彼女は前理事長の顧問として、一緒になって学園の買収を進めているのであった。

坂本は桜木の元教え子だが、桜木と水野を裏切ることになるこの巨額買収計画を、ビジネス面で支援しているのだ。

そして米山は、桜木に精神的に追い詰められたとして現役受験生の頃自殺騒動を起こした、桜木の元教え子である。この事件で桜木は社会的な批判に晒され、全てを失ったのであった。その後米山は、二浪を経て現在は東大に在学中である。

風雲急を告げる、龍海学園買収劇である。

受験技術編


生徒同士で講義し合う効果
人に教えるためには、単に理解する以上の、より深い理解が要求される。理解して→そしゃくして→整理して→使いこなせる、というレベルの理解である。人に授業を行うためには、このレベルの理解が必要になる。逆にいえば、人に授業を行うことにより、このレベルの理解に到達することが可能だということだ。

また理解した知識を講義という形でアウトプット、つまり実際に使うことにより、知識は記憶に深く定着する。

講義はビデオに取ると良い。録画は、講義中の自分の思考を客観化してくれる。自分の理解の甘さあるいは深さをチェックするのに、効果絶大だ。

iの独り言。
私の以前の勤務先では、各分野のスキルを自己評価して申告する際のレベル基準として、「3:人に聞いたりしながら、行える」「4:一人で行える」「5:人を指導することができる」といった基準が使われていました。

ミスした時言い訳をしない受験生は伸びない
敗者はよく考えない。ミスを「たまたま」で片付けたり、あるいは人のせいにして自分は悪くないと考えたりしがちである。

一方勝者は、ミスした原因を深く分析する。そして改善案を徹底的に考え抜き、次回に生かそうとする。

読書スタイルでわかる、自分にあう勉強法
気になる本が複数ある場合の読書スタイルから、性格タイプを知ることができる。

A:同時進行で色々読む→拡散型
B:一冊読み終えたら、次の本を読む→保全型

iの独り言。
私はBです。
まず、「はじめに」を読み、「内容」が自分の求めているものかをチェックします。これが縦軸です。
次に、一章を読み、本が「面白い」かどうかを評価します。これが横軸です。面白くなければ、「一章切り」をします。つまりここで読了です。基本的な考え方は、「面白い本はどこから読んでも面白い」「なかなか面白くならない本は、最後まで面白くならないことが多い」です。誰かの読書法の受け売りなのですが、著者の名前が思い出せません…。西田ナントカという方だった気がします。
最後に、本の後半は頁数合わせのオマケの場合も多いので、すごく面白い本でもなければ読まずに読了とすることもあります。

拡散型の特徴:
興味を持ったらすぐ行動する
キーワードは「ワクワクすること」

保全型の特徴:
「ちゃんとやりたい」「失敗したくない」という気持ちが強い
キーワードは「自信と安心の積み重ね」

拡散型の「夏休み5か条」

1、勉強場所は気分で決めろ。
2、ノルマは5日間単位で決め、その中で自由に調整。
3、憧れの人をロールモデルにしろ。
4、テンションが上がる問題を一冊見つけろ。
5、ゲーム感覚でハイレベルな問題に挑戦しろ。

保全型の「夏休み5か条」
1、勉強場所は固定しろ。馴染みのある場所が良い。
2、1日ごとのノルマを決めろ。
3、仲間と進捗状況を報告しあえ。
4、今持っている問題集を徹底的にやれ。手元にある馴染んだものを使え。
5、最初からハイレベルな問題に手を出すな。

第9話「大逆転前編!そして運命の共通テスト」


ドラマ編

9月。共通テストの出願書類が届いた。出願書類を手に取りパラパラと眺める東大専科生たちは、「背筋が伸びる思いがする。」と、受験が一気に現実のものとして視えてきた様子である。

桜木は、東大専科生たちに出願書類の重要性を説き、また記入の際の注意事項を説明する。※「受験技術編」で解説。

「これは、未来を決める通行手形だ。心を込めて、誠心誠意書くこと!」

次に桜木は、「共通テストの心がまえ5か条」を専科生たちに説く。※「受験技術編」で解説。

12月。共通テスト直前模試(いわゆるプレテスト)を受験する、東大専科生たち。

藤井は会場で、中学時代の知り合いたちに見つかり、龍海学園に通っていることを小馬鹿にされる。カッとなり立ち上がりかける藤井。しかし原をいじめていた自分の姿を思い出し、自分がかつてやっていたことを今やり返されていることに気づいて我にかえる。

プレテスト後、東大専科の教室で自己採点を行う専科生たち。結果は次のようなものであった。


専科生志望プレテストiのコメント
小杉文科III類810B判くらい。ずっと安定
理科II類713千葉大なら確実?
藤井理科II類695電気通信大なら確実?
天野理科II類634宇都宮大なら確実?
岩崎理科II類587琉球大なら確実?
早瀬文科III類567琉球大教育学部なら確実?
瀬戸文科III類495オードリー春日より50点も上
小橋?331国立大圏外
岩井?343国立大圏外

残り一ヶ月強で巻き返せるの?と疑問に思うような成績であるが、東大専科生たちは皆ポジティブであった。平手などは「桜木先生。私たちが落ち込んでるように見える?」とやる気満々である。

桜木も生徒たちを信じて激励するのであった。

「この先の飛躍を信じて頑張れ!」

唯一人、プレテストの結果が良くない藤井だけは浮かない表情である。一人、教室に居残る藤井。そこへ原がバナナを差し入れる。原は、藤井を励ます。

「ウンウン、僕、藤井くんみたいになりたい。」
「ウンウン、藤井くんは、言いたいことをはっきり言える。」
「ウンウン、藤井くんは、東大に向いてる。」

今や、原の励ましに素直に感謝できるようになった藤井であった。

「俺もそう思う…ありがとう」

ここからの一ヶ月で、専科生たちは驚異的に成績を上げていくのであった。

1月下旬。いよいよ共通テスト本番である。前日、桜木は東大専科生一人一人に問いかける。

「一人ずつ、東大に行ったら何をしたいか、言ってみろ。」

桜木曰く、「言葉にすることで、目標が明確化できる」「他人に共有することで、自分にいいプレッシャーをかけることができる」のである。

ただ一人、藤井だけは迷いがあるようで、はっきりと言葉にして口に出すことができない。桜木は藤井に問いかける。

「言えないのか?みんなを見返すんじゃないのか?」

藤井は、いつもの態度で言い返す。

「そうだよ、お前らが将来口もきけないくらい偉くなってやる。」

以前の藤井であればいかにも言いそうなことだが、今の藤井は、必ずしも本心というわけでもなさそうである。

そして桜木は、東大専科生たちに力強く激励する。

「人生はどうなるかではなく、どうするかだ。」
「大きく強く、一歩を踏み出せ!」
「その一歩に全力で取り組め!」
「いよいよ決戦の時…全力で勝利を掴んで来い!」

共通テスト当日。試験会場に全員集合し、円陣を組み気勢をあげる専科生たち。東大専科の教室でじっと待つ桜木と水野であった。そして2日間の共通テストは終わった。

共通テスト翌日。東大専科の教室で、自己採点結果の発表が行われる。結果は次の通りであった。


専科生志望プレテスト
12月
共通テスト
本番
iのコメント
小杉文科III類810810B判くらい?
理科II類803713C判くらい?
天野理科II類801634C判くらい?
岩崎理科II類752587横浜国大ならA判?
早瀬文科III類738567千葉大ならA判?
藤井理科II類719695千葉大ならA判?
瀬戸文科III類620495う〜ん群馬大?
小橋?492331オードリー春日より上
岩井?484343オードリー春日より上

結果を見た瀬戸は、絶望の表情を浮かべて教室を出て行ってしまう。

一方、藤井も得点が伸び悩み、浮かない表情である。桜木は足切りはクリアできるから大丈夫と励ましつつ、藤井に問いかける。

「怖いのか?」
「ああ…。怖いよ」と答える藤井。

桜木はさらに問いかける。

「藤井、お前はなぜ東大に行きたい?日本一の大学だからだろ?」
「ああ。日本一でないと、誰も俺を認めないだろ…」と答える藤井。

桜木は考え、やがてカッと藤井を見据えてこう告げる。

「文転しろ!藤井。」
「お前は文IIIを受けろ。」
「理科IIは危ない。数学と理科が足を引っ張っている。」
「おおかた数Bでつまずき、物理と化学の優先順位を間違えた。違うか?」

桜木は、しかし文転すれば藤井は優位に立てるという。

「文転で合格してる奴は意外と多い。」
「数学で点が取れるからだ」

逡巡する藤井に桜木は、意地やプライドを捨ててなりふり構わず合格しろと畳み掛ける。

「周りを気にして生きるのはやめろ」
「親兄弟に文転のことを何と言われても、気にするな」
「お前のことを笑う奴がいたら、俺の前に連れて来い!」
「東大はただのスタートだ!」
「誰かのためとか認めてもらいたいとかでなく、自分のために行け!」
「文系だろうが、東大は東大」
「恥は捨てて、死にものぐるいで受かる道を選べ!」

心を動かされた藤井は、文転を決意する。そして文系組の他の専科生たちに、「国語と日本語を教えてくれ!」と頭を下げるのであった。

「私でよければ!」と小杉。
「日本史は私のノートがあるよ!」と早瀬。
「国語なら教えられる!」と天野。

仲間と共にどんなことをしてでも東大に合格しよう、と決意する藤井であった。

受験技術編


英作文ワンポイント
以下の文章を暗記しておくと、どんなテーマの英作文にでも使いまわせてなにかと便利。とりあえず「何かいいことを言った感」はでる。

例文1
"This will develop my point of view."
「これは、私の視野を広げてくれるだろう。」

例文2
"If things go on like this, ..."
「もしこの状況がこのまま続くのであれば、…」

例文3
"This eables A to ...."
「これはAが●●することを可能にしてくれる」

古文単語暗記のワンポイント
古文単語は、漢字にしてみるとわかりやすく覚えやすい。例えば、
古文単語漢字意味
「まめまめし」「忠実忠実し」まじめで本気だ
「とし」「疾し」はやい
「しるし」「著し」はっきりしている
「よしなし」「由無し」理由が無い

共通テストの心構え5か条

1、終わった教科のことは考えるな、耳に入れるな

試験中に他教科のミスを思い出したら、集中の妨げになる。
休憩時間はイヤホンで音楽を聞くなどして、周りの会話は遮断すべし。

2、難しい問題にとらわれるな

1教科くらいは難しい問題を出してくる。それは他の受験生にも難しく、平均点は下がるので気にしない。
共通テストは問題数が多い。難しい問題もじっくり考えれば解けるかもしれないが、そうやっていると時間がなくなってしまう。
確実に解ける問題、つまりわかる問題から解いていくのがセオリー。

3、1日目の試験の後は、一人で帰宅しろ

顔を合わせて話せば、お互いの出来不出来がわかってしまう。これは動揺に繋がることが多い。

4、答えは問題用紙に書いておくこと

丸付け程度でよい。すぐに答え合わせをして、結果を元に願書を出すためである。
足切りを避けるために志望を変える必要があるかもしれず、正確に得点を把握することが必要。

5、自分さえ受かればいい!と思って試験に挑め

第10話(最終話)「東大受験&買収劇W大逆転完結!涙の合格発表」


共通テスト本番の得点が620点とあまりにも悪く、真っ暗な表情で東大専科の教室を出て行ってしまった瀬戸。そんな瀬戸が姉と切り盛りする「ラーメン瀬戸屋」を訪れた桜木。しかし桜木はラーメンを食べ終わると、瀬戸に特に何か声をかけるでもなく、そのまま店を出ようとする。少し慌てる瀬戸。

「お、おい、何にも言わねーのかよ」
「諦めた奴に用はない」と桜木。
「一浪して、来年受けるって言ったろ」
「それを諦めたというんだ」と桜木。

言い返せない瀬戸に、桜木は力強く語りかける。

「瀬戸、文IIを受けろ。足切り点が低くなりそうだ。」
「今この瞬間が未来につながっている。」
「1分1分をムダに過ごすか、それともベストを尽くすか。決めろ、瀬戸!」

目を覚まされた瀬戸は、文II受験を決意する。

さて一方、桜木に文転を促され、一度は文III受験を決意した藤井である。藤井は桜木にこう切り出す。

「先生…。自分のために東大に行けって、言ったよね」
「工学部でロボットを作るのが、子どもの頃からの夢なんだ」
「理IIに志望を変えたり、文IIに文転したりしたけど…」
「俺、やっぱり理Iで出願したい」

なりふりかまわぬ東大合格よりも自分の夢を貫きたいという藤井に、桜木はニヤリと笑って答える。

「(理IIや文IIIは)東大への近道を示しただけだ」
「あえて険しい道を行くのもいい」
「お前の人生だ!」

こうして藤井は、理I受験で意思を固める。

さて、東大足きり結果である。


文I713
文II620
文III700
理I645
理II639
理III733

文IIで出願した瀬戸は、足きり最低点ピッタリでクリアである!瀬戸を祝福に、「ラーメン瀬戸屋」に集まる東大専科生たち。そこには、あの藤井の姿さえあった。

「俺は、ただラーメンを食いにきただけだから…。」と恥ずかしそうな藤井であった。

いよいよ東大二次試験本番が近づいてきた。東大専科生たちを激励するため、ドラゴン桜1のOB小林、緒方、奥野たちが龍海学園を訪問した。全員、ドラゴン桜1の舞台、龍山高校で桜木の指導を受けた生徒たちであり、東大出身である。

東大合格に必要なことは何か?と専科生たちに質問されて、彼らはこう答える。

「そりゃ運でしょう」と奥野。
「みんな相当運がいいよ。」と緒方。
「だってみんな、桜木先生、水野先生に出会えてるんだから。」

東大二次試験の当日。

岩崎。母親から渡されたのは、父親手作りのおにぎりであった。感謝の言葉をのべる娘に父はいう。

「オリンピックは4年に一度しかない。東大は毎年だ!」

落ちても気にするな、またチャレンジすればよい、という励ましであるらしい。

瀬戸。自信満々である。途中偶然見つけた神社に立ち寄ってパンパンと柏手をうち、変な奇声をあげて気炎をあげる瀬戸であった。

早瀬。少し調子を崩している。

天野。励みを得ようと、自分が受験ラップ動画を配信しているサイトにアクセスする。しかしそこにはヒドイ誹謗中傷のコメントが並んでいた。

「受験ラップ、意味不明」
「こんなことする時間あるなら勉強しろ」
「英語をマジメに勉強しろ。ふざけるな!」
「東大をなめんなよ」
「ラップ、簡単な英語ばっかりじゃんww東大とか無理だろ」
「こんなふざけた人、落ちてほしい」
「マジメに勉強している人に失礼だ。今すぐやめろ」
「受験ラップなんてしてる暇があるなら、英単語の一つでも覚えたらどうですか」

がっかりする天野であるが、やがて誹謗中傷への反論コメントが次々に投稿されていく。

「こんなふざけた人、落ちてほしい」という誹謗中傷には、
「短期間でものすごい成長している彼は、必ず受かります」
「応援してます。ぜひ受かってほしい。頑張れ!」

「英語をマジメに勉強しろ。ふざけるな!」という誹謗中傷には、
「英語力上がってると思います!応援してます!」
「これも立派な勉強です」

これらの反論コメントは、全て天野の母と、天野が「見下されている」と劣等感を感じている弟によるものであった。

「合格して見返してください!」と天野の弟のコメント。

原。二次試験の教室で、席についている。ピリピリした雰囲気とこれから始まる試験に、あがるどころかむしろ興奮気味である。

「ゲームだ、ウンウン、みんなで。」
そしてつい大声を出してしまう。

「楽しい!」

びっくりした受験生の注目が原に集まる。その中に陰険な受験生2人組がいた。

「なんだコイツ…ハズレだわ、この席」彼らは互いに目配せをする。

試験が始まった。原はこの2人組からイヤガラセを受ける。落とした消しゴムを遠くに蹴り飛ばされる、後ろや横から足でケリを入れられるといった仕打ちである。

東大二次試験の昼休み。

中庭で例によって虫探しになっている原。そこへあの陰険な受験生2人組がやってきて、原をいたぶり始める。彼らは気持ち悪い、目障りだ、受験をやめろと言いながら、原を小突き回す。

それを見ている専科生がいた。藤井である。専科生たちは桜木から、今日だけは何が起きてもただ自分の受験だけに集中しろ、と訓示を受けていた。

藤井は原がいじめられているのを何度も無視しようとするが、遂に我慢できなくなり、大声をあげながら陰険受験生2人組に向かっていく。

「俺の友達に何すんだ!」

このとき藤井は、殴られて少し出血するほどの怪我を顔にし、また突き飛ばされて手首をひねるという怪我をしてしまう。悪いことに捻ってしまったのは、右手の方であった。

藤井は原と教室に戻り、試験官に原がイヤガラセを受けていることを告げ、試験中よく見ていてほしいと依頼する。午後の試験が始まると、あの陰険受験生2人組が机の下から原を足蹴にするなどのイヤガラセを早速再開するが、試験官から厳しい警告を受け、ナリをひそめる。

それ以降は快調に試験に集中できた原であった。一方、捻った右手首が痛んで、試験にいま一つ集中できない藤井であった。

そして東大二次試験は全日程を終了した。

合格発表当日。

専科生たちは全員、東大まで合格発表を見に行っている。桜木たちは教職員室で、ネットで合格発表を確認しようとしているが、ネットの調子が悪くなかなか繋がらない。「こんなことなら、私たちも東大まで合格発表を見に行けばよかった」と教職員の一人が発言する。しかし桜木はいう。

「ダメだ!生徒自身に結果を見届けさせることが大事だ!」

さて、東大である。次々に合格者が明らかになっていく。大喜びする合格者たち。しかし、厳しい表情を浮かべて掲示板から立ち去る専科生がいた。瀬戸である。

うなだれて出口に向かう瀬戸は、岩崎たちとばったり出くわし、結果を問われてこう答える。

「かすりもしねぇや…。俺はA205031だけど、最初の桁(2)からしてねぇよ」

瀬戸が見ていたのは文IIIの掲示板であったのだ。A2で始まるわけがない。A2で始まるのは、瀬戸が受験した文IIである。岩崎に指摘され、瀬戸たちは走って文IIの掲示板を見に戻る。そして…。

「あった…!合格だ!」号泣する瀬戸であった。

原も無事に合格していた!小杉に祝福される原。しかしそこに、例の陰険受験生2人組が現れる。

「合格したのかよ?テメェみたいな奴が…。ちょっとツラ貸せや」

人気の少ない場所で原をボコり始める2人組。止めに入った小杉は突き飛ばされるが、しっかりと受け止められ転倒寸前を免れる。小杉を受け止めたのは、小橋・岩井の不良2人組であった。小橋・岩井に胸ぐらを捕まれ、建物の壁に体を押し付けられてガタガタ震える陰険受験生2人組。

「テメェらは合格だったのかよ?」

小橋・岩井の不良2人組に問い詰められ、陰険受験生2人組は震えながら答える。

「い、いえ…」

小橋・岩井の不良2人組は怒鳴りつける。

「だろうな!お前らみたいなやつは、永久に東大には受からねぇ!」

ヒイッと逃げていく、陰険受験生2人組であった。

そして藤井…。藤井は、不合格であった…。

iの独り言
足きりで二次をを受験できなかった小橋・岩井は、何をしに来ていたのかな??

結果をまとめると、以下であった。


専科生志望結果
小杉文科III類合格!
早瀬文科III類不合格…
天野理科II類合格!
理科II類合格!
岩崎理科II類合格!
瀬戸文科II類合格!
藤井理科I類不合格…

東大専科、最後のホームルーム。

桜木は、まずは合格者たちに祝福の言葉をのべる。

「お前たちは、自分の手で、合格というキップを掴み取った。」
「このキップをどう使おうが、お前ら次第だ!」

桜木は次に、合格できなかった早瀬と藤井に向かう。

早瀬は、不合格の悔しさを吐露する。

「人生の中で、こんなに悔しいと思ったこと、ない。」

しかし早瀬はにっこりと微笑み、こう続ける。

「知らなかった。自分の中にこんな気持ちがあるなんて。」
「東大を目指さなければ、一生わからなかった。」
「本当によかった。みんなありがとう。」

早瀬は、浪人はしないとみんなに告げる。実は、センター受験で私大にも出願しており、ちゃっかり青学経営学部に合格していたいのである。

「東大に、もともとこだわりないの。」
「ただ、頑張れる自分になりたかったの。」
「だから、岩崎に「頑張ったね」って言われて、全部報われた。」

桜木はニカッと笑い、そんな早瀬を肯定する。

さて、藤井である。藤井はこう語り始める。

「俺、親に土下座して頼んで来た」
「留年して、もう一年東大専科で頑張りたいって」
「俺はバカだった」
「見返すことばっかり考えて来て…」
「今は、家族にどう思われてもいい」

そんな藤井に、桜木は喝を入れる。

「このバカヤローが!」
「試験中に手首にケガなんてしやがって!」
「原を助けやがって!試験日だけは、自分のことだけ考えろって言ったろうが!」

このことを知らなかった専科生たちは皆驚く。藤井はしかしこう続ける。

「違う…。手首じゃない」
「俺、原を助けた時、嬉しくて。前の自分なら、しなかった。でも今はできた」
「そういう自分になれたことが嬉しくて、試験中もコーフンしちゃって…」

「後悔してないから。原、気にすんな」

桜木は続ける。

「俺は自分のことだけ考えろと言った。この、オーバカヤローが!」

そして桜木はいう。

「だがな…。今のお前なら、次は必ず受かる。確実にだ!」

この最後のホームルームののち、ほどなくして、桜木が全てを失うきっかけになった教え子自殺未遂騒動のスキャンダルが解決する。教え子・米山は、桜木からのプレッシャーで精神的に追い詰められて自殺未遂を起こしたのだった。しかしこれは全て、桜木になり済ましていたある人物の仕業だったのである。その人物は桜木になりすまし、「お前なんかが受かりっこねぇ」といった類のメールを米山が壊れるまで送り続けていたのであった。※ネタバレ防止のため、桜木になりすましていた人物の正体は自粛。

桜木になりすましていた人物の正体を暴いたのは、当の米山であった。米山は桜木の前でその人物を暴き、追い詰め、鬼の形相で「お前をとことんまでツブす!」と恫喝する。米山は顔を、ブルブル震えるその人物から桜木に向け、にっこりとこう問う。

「どうしますか?先生」

しかし桜木は復讐を望まず、こう答える。

「その辺にしとけ。」
「復讐は誰も幸せにしない。誰かを陥れて手に入れた幸せなんてのは、所詮虚しいもんだ」
「こんな奴、知ったこっちゃねぇ。」
「こういう奴は、いずれは破滅していくもんだ。」
「だが米山、お前までこの道を歩むな。」
「自分の人生を生きるんだ」

卒業式。

東大専科の教室からは、桜木が寝泊まりに使用していたテントが撤去されていた。桜木も卒業することになったのだ。

慌てふためく藤井。

「話が違うだろ!」

しかし桜木は藤井に穏やかに答える。

「お前らはもう大丈夫だ」
「この数ヶ月で大きく成長したろ?スポンジのように吸収して…」
「お前らの強みは、その素直さだ。」
「来年は必ず合格できる。水野を信じろ!」
「藤井、お前はもう、勝つために必要なものを全て持ってるんだ!」
「諦めず進め、そして必ず摑み取れ!」

iの独り言
藤井がかわいそすぎるー!

そして桜木は、専科生一人一人に心を込めて語りかける。

「桜木先生ともっと勉強したい!」と泣きそうな原に、
「お前は東大生になるんだろう?いい研究者になれる。虫と共生できる未来を作れ!」

小杉には、
「二度と誰かに遠慮するな!お前ならどんな未来も切り開ける!」

天野には、
「自分が思ってるよりずっと図太い性格だ。失敗を恐れず前に進め!」

岩崎には、
「お前の根性なら、どんな目標も必ず達成できる。オリンピックを楽しみにしてるぞ!」

早瀬には、
「最後までよくやりきったな!生まれつきの運の良さに、努力が加われば最強だ!生かしきれ!」

瀬戸には、
「お前は自分の限界を決めつける癖がまだ抜けてねぇ。諦める前に、もっと人を頼れ!」

そして全員に語りかける。

「人生で一番大事なのは、東大に行くことでも勝つことでも結果を出すことでもない。」
「目標に向かって過ごした一分一秒、自分の人生を変えようとガムシャラに努力したその道のり、熱意、そして仲間への思い。それこそに価値がある!」

桜木は、水野にも心からの感謝をのべる。

「水野も、東大に入って人生を変えた一人だ。」
「こいつは自分の人生を変えただけじゃねぇ。俺の人生まで変えちまった。」
「無一文で落ちぶれていた俺が、立ち直されちまった。」
「水野、どうもありがとう…」

桜木は深々と水野に頭を下げた後、専科生たちに向き直って続ける。

「お前ら、いつか俺が言った言葉を覚えてるか?」
「クソみてぇな人生を変えられるのは、自分しかいない」
「人は誰かを変えることはできねぇ」
「しかし、真っ直ぐな姿で突き進む時、その姿は他の誰かを動かす原動力になる」
「自分を信じて、真っ直ぐに突き進め!」
「いつかその姿は、人に勇気と希望を与える」
「お前らの勇気、熱意、思いやりが、周りの人間を突き動かす」
「そしてそれは、巡り巡って、いつか社会を変えて行くんだ」
「人生を切り開け!常識を変えろ!」
「こっから先の未来を作っていくのは、国でも環境でもない。お前ら自身だ!」
「お前らバカは、もうバカじゃねぇ!」
「お前らには仲間がいる。その輪を更に広げていけ!」
「自分の信ずる道を行け!」

ーー 完 ーー