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古市憲寿「ヒノマル」夏休みオススメの一冊。

2022/07/16
その他
古市憲寿さんの小説「ヒノマル」を読みました。

安倍元総理好きの御用学者などと揶揄されることもある古市憲寿さん。この小説は、国のためなら死も厭わないと公言する、自他共に認める愛国少年・勇二が主人公ということで、第二次世界大戦を戦った日本を美化するような内容なのかと、批判的に読み始めました。

実際は全く真逆。


本作では、第二次世界大戦中の日本、主に、国民生活への統制が日に日に厳しくなり、いよいよ学徒出陣や本土空襲が始まった時期が描かれます。

本作は「戦争の最大の敵は外ではなく、内部にいる」と述べ、そのような「敵」が多数登場します。

  • 軍国精神がたるんでいるとして、生徒を殴りつける若い女教師。
  • 根性論的な無謀なスパルタ訓練で、学徒出陣した学生を訓練中に犬死させる士官。
  • 自分は戦争に行かないくせに、町の若者に浮ついているだのしつこく難癖をつけて絡んでくる、タチの悪い老人たち。
  • 学徒出陣する我が子の送別会を行う家庭を廻り、図々しく上がり込んでは、子どものために用意された稲荷寿司を頬張る厚かましい隣人たち。
  • 軍需工場に徴用された中学生たちの食事の食材を横領して私腹を肥やす、工場の従業員たち。
  • 強烈にまずい、工場の食事。
  • 土足で被疑者の自宅に上がり込み、被疑者を容赦なく殴りつける特高警察官。
  • 特高に拘留された家が近所にあれば、同情ではなく魔女狩りのような嫌がらせを行う隣人たち。

Etc... こういう「内部の敵」がこれでもかと描かれます。

読み終わる頃には、若者やこども達を絶対に戦争に巻き込みたくない!どうしてもというなら、若者や子どもたちではなく、ワシらおっさんが行って来るから!と強く思わせれた本でした。

こう書くと暗い内容に思えてしまいますが、登場する四人の少年少女は強く逞しく優しく進歩的で、全体を通しては青春小説といいますか良いジュブナイルとなっています。

読了に要する時間は、だいたい6時間くらい。日曜の朝、なんとなく6時頃に目が覚めてしまい、そのまま読み始めて、昼12頃に読み終わりました。

夏休みに中・高・大学生に読んでもらいたい、おすすめの一冊です。