「失敗の科学」と模試受験の重要性
2023/01/29
マシュー・サイドの「失敗の科学」を読みました。
著者のマシュー・サイドは、オクスフォード大学の哲学政治経済学部を首席で卒業しながら、同時に卓球選手としてイングランド1位の座を10年保ったという、異色の人物です。 作家であり英「タイムズ」のコラムニストである著者の「失敗の科学」は、最初から最後まで小説を読んでいるように非常に面白い本です。私だけでなく i も大変気に入ったようで、本の表紙をスマホで写真に収めていました。 私が特に興味深いと思ったのは、「暗闇のゴルフ」および「フィードバックは道を示す「明かり」である」という節です。 よく「一万時間ルール」ということが言われますよね。才能が開花し何事かの達人の域に達するには1万時間が必要、逆にいうと何事でも1万時間打ち込めば必ずその道の達人になれる、というやつです。 マシュー・サイドは、ある職種ではこれが全く当てはまらない場合がある、と言います。それを説明する例えが「暗闇の中のゴルフ」です。 ゴルフの練習を暗闇の中でやっていたとしたら、ボールがどこへ飛んで行ったか全くわかりません。何度打ってもボールはただ暗闇の中へ消えていくだけです。データがまるでないため、次はもう少し右に打ってみよう、といった試行錯誤ができません。このような環境では100年練習を続けても、上達することは絶対にありません。改善のしようがないからです。 上達するためには、この暗闇に「明かり」を灯すことが必要です。この明かりが「フィードバック」です。フィードバックはボールが右にそれていったなど、間違いを教えてくれるものであり、これがなければ訓練や経験を何年積んでも何も向上しません。 職種によっては「フィードバック」を得ることが非常に難しいものがあるそうです。例として挙げられているのは、臨床心理士、心理療法士、大学推薦入試の面接官、企業の人事担当者、などなどです。熟練のプロとかけだしの新人の間に、まるで差がでないそうです。詳しくは本書をお読みになってください。 受験生の場合、フィードバックはやはり予備校の模擬テストではないでしょうか。とはいえ模擬テストは、受験生の場合、年に数回程度しか受験できない(どこの予備校も似たような時期に実施する)、結果が返ってくるまで1〜1.5ヶ月かかる、再挑戦できるのは数ヶ月後でありまた何度も再挑戦するような時間は残されていない、などの欠点がありますね。 受験までの限られた時間の中で、模試をフィードバックとして有効に活用するには、模試の直後にすぐ以下を実践することが重要だと思います。 ・記述式模試の場合、模試からの帰宅後即「解答起こし」を行う ・模試後に配布される正解と解説を熟読し、採点ポイントを自分の解答を比較し、自己採点を行う。このとき、極めて精度の高い自己採点を行うことを目標とすること。 ・得点が取れていないジャンルの洗い出しと、集中的な復習する。 ・結果(成績)が返ってきたら、自己採点の精度を確認・評価する。 ルーティーンとして実践できるようになるよう、これは1年生から取り組む必要があると思います。が、高校生にはなかなか難しいですね。「ドラゴン桜」の東大クラスの講師陣や、「2月の勝者」の黒木先生みたいに、プロがそこまで見てくれるような状況は実際には無いですからね。 ご両親のサポートやチェックが大事かと思います。私も、もっとできたことがあったなぁ…と反省しきりです。 ではでは。 |